今回はフリーランスに支払い義務が発生する「個人事業税」について、事前に知っておきたいことを3つのポイントに分けて解説していこうと思います。
初めて独立する方にとっては馴染みが薄い「個人事業税」について、その概要から支払い義務がある方とない方の違いについてや支払い方法など詳しくお伝えできればと思います。
まずは個人事業税の概要についてお伝えします。個人事業税とは個人事業主やフリーランスとして事業を行なっている方に課せられる税金の一つになります。個人事業税は事業税の一種であり、個人事業税と対をなすものとして、法人事業税があげられます。これら事業税は地方税の一種であり、事務所や事業所を開設している都道府県に対して納税します。
個人事業税は全てのフリーランスに対して支払いの義務がある税金ではなく、所得や業種によって課税対象になるかが決定します。また課税対象となった場合でも税率が数段階に分かれています。課税対象に当てはまる方の条件は以下の通り。
参照:東京都主税局
3.所得金額が年間290万を超えている
個人事業税は対象者の年間所得金額に対して課税されます。ただし個人事業税には事業主控除として「290万円」が設けられているため、年間所得がこの控除額を下回っている場合は個人事業税の支払い義務が発生しません。
個人事業税の税率については、法定業種の区分によって異なっています。各業種の税率については以下の通り。
参照:東京都主税局
個人事業税の申告は、確定申告と同じタイミングに行われます。確定申告書に「事業税」の欄があるため、そちらに非課税の所得金額を記入することで、あとは事業所として登録されている都道府県が個人事業税の納税額を計算してくれる仕組みです。
毎年8月頃に都道府県から納付書が届き、納税がくが1万円以下の場合は8月中に一括で支払う必要があり、1万円を超える場合は8月と11月に分割して納税するのが一般的です。
次に個人事業税の納税義務が発生しない業種について解説します。先ほど紹介させて頂いた70種類の法定業種に含まれない業種は課税非対象になります。
具体的に挙げさせていただくと、下記業種の方は個人事業税の支払い義務がありません。
開業届を提出する際に「職業の分類」を決定し、記載するのですが、その時の選択によって個人事業税は発生したりしなかったりが決まるため、よく考えて記入するようにしましょう。
例えば、同じ「絵を描く仕事」であっても、デザイナーやイラストレーターとして届け出を行うと個人事業税の課税対象となり、画家として届け出ると非対象となります。
執筆業、文筆業、ライター業は法定業種に含まれていないため、個人事業税の課税対象外となります。この時「請負業」でライター業務を行なっている場合は課税対象になりますが、「ライター業」として届け出を行なっている場合は、課税非対象です。
Web制作関連の仕事で言えば、Webデザインを主な仕事にしている場合はデザイン業に当てはまり法定業種に含まれるので課税対象となりますが、コーディングメインで業務を行なっている場合、コーディング業は法定業種に含まれないため、個人事業税の対象外となります。
また同様にエンジニアやプログラマとして活動している場合も、コーディング業に当てはまるため法定業種に該当しません。しかしライター業と同様、契約形態が「請負契約」となっている場合「請負業」となり、個人事業税の課税対象と見なされます。
個人事業税は都道府県から納付書が届き、その書類の裏に記載されている納付方法に従って支払いを行うことになります。だいたいの都道府県が税事務所窓口や指定の銀行、郵便局、コンビニエンスストアでの支払いに対応しています。
現金払いの他、口座引き落としやクレジットカード払いにも対応しており、手数料がかからなかったり、ポイントが貯まったりとお得になるため、選択肢に入れるべき納付方法といえます。
個人事業税の計算方法は以下の通り。下記の計算式の各項目に該当数値を入れることで、翌年に支払う個人事業税が決定します。
(収入ー必要経費ー事業主控除)×事業税率
「事業主控除」は一律290万円と定めれています。
先ほど解説させて頂いた通り、収入から必要経費を差し引いた「事業所得」が290万円を下回る場合、上記計算式にしたがって個人事業主が発生しないということです。
個人事業税の概要、納税義務が発生する業種、納税方法や注意するポイントなどについて解説させて頂きました。個人事業税は開業届で届け出る業種にも関わってくるため、事前にこれらのことを把握した上で、不必要な納税を減らせるように注意しましょう。また個人事業税は所得額に応じて支払いの義務が発生するため、事業税控除の金額を意識して所得や経費の計算を行うと良いでしょう。