Db2はIBM社が提供するリレーショナル型データベース管理システム(RDBMS)です。Db2は数あるDBMSの中でも比較的長い歴史を持ち、誕生当初はメインフレームを専門領域としていましたが、後に幅広いプラットフォーム対応を実現させました。この記事ではDb2について理解をするために歴史や特徴、基本的なコマンドなどを簡単に解説していきます。
Db2とはIBM社が提供するリレーショナル型データベース管理システム(RDBMS)です。データベース言語のSQLを初めて採用したデータベース管理システムと言われております。IBM社が手掛けるAIXをはじめ、Unix、Linux、Windowsなど幅広いプラットフォームに対応しております。2015年頃まではデータベースランキングにおいてTop5に入る位置におりましたが、『MongoDB』に抜かれ、『Elasticsearch』『Redis』といった人気株にスコア値が抜かれそうだと危ぶまれております。とはいえ長い歴史を持つDb2は特に中小規模のデータベースにおいての立ち位置は引き続き高い人気があります。
SQLとはリレーショナルデータベースの管理・操作をするため最も普及されているデータベース言語です。主な用途としてデータベース管理システム(DBMS)へデータの検索、追加、削除、更新などの指示のために使用されます。1970年代にIBM社の開発によって誕生した『Structured English Query Language(SEQUEL)』が元になっております。
そのことから広く知れ渡っている呼び名は『シーケル』です。またSQLは国際標準化機構(ISO)で規格化をされております。そのためMySQL、Oracle、PostgreSQLなど様々なデータベース管理システムにおいてもSQLにて対応することが可能です。またSQLの代表的な拡張プログラム言語としてPL/SQLやT-SQLなどが挙げられます。
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IBMとは米国発祥の世界で有数のソフトウェア企業です。IT領域におけるコンサルティング、ソフトウェア業を主軸としております。汎用機、サーバーといったハードウェアの部門においても多大な実績を誇ります。
データベースとは様々な情報を整理し効率よく使用するために格納するデータの集合体のことです。データベースには様々なデータを効率よく管理するための機能が用意されております。また大量のデータを高速に処理することも可能です。用途は様々で顧客管理や在庫管理などの複数のデータを取り扱うことが必要とされる業務に使用されます。主なデータベースの種類としてOracleDBやMySQLなどが挙げられます。
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DBMSとはデータベースを構築するためにデータベースの運用、管理を実行するためのシステムです。
代表的な製品としてOracle Database、SQL Server、MySQLなどが挙げられます。
DBMSの歴史や種類を解説している記事はこちら>>
Db2の読み方は『デービーツー』です。正式名称は「IBM Db2」です。2017年に『DB2』から『Db2』へとリブランドされました。
Db2は1983年にIBM社のメインフレーム用のデータベース管理システム(DBMS)として誕生しました。当時DB2という名で登場し、汎用コンピュータの業界標準となりました。1980年代は汎用コンピュータ上でしか動かなかったDB2ですが、1990年代に入ると他のプラットフォームに移植をし、Unix、Linux、Windowsなど幅広いプラットフォームに対応するようになりました。
1997年「オプティマイザー」、1999年「管理機能強化」、2000年「ビジネス・インテリジェンス機能の統合」など着実に進化を遂げていきます。Db2は登場以来度重なるアップデートを繰り返し、現在の最新バージョンはV11.5となっております。簡単に以下の年表にまとめておりますのでご覧ください。
年代 | 内容 |
1983年 | 『DB2』誕生 |
1986年 | 『DB2 R2』リリース |
1993年 | 『DB2 AIX版』リリース |
1994年 | 『DB2 Solaris、HP-UX版 』リリース |
1995年 | 『DB2 Windows版』リリース |
1999年 | 『DB2 Linux版』リリース |
2000年 | ビジネス・インテリジェンス機能の統合 |
2002年 | 『DB2 V8』リリース 連続可用性の向上 |
2006年 | 『DB2 V9』リリース |
2007年 | 『DB2 V9.5』リリース パーティショニング |
2012年 | 『DB2 V10』リリース 圧縮機能拡張、タイムトラベル照会 |
2017年 | リブランドのため『Db2』へ名称変更 |
2019年 | 『Db2 V11.5』リリース |
Db2の特徴を見ていきましょう。
Db2はSQLを初めて採用したデータベースという特徴があります。
Db2はアーキテクチャに特徴があります。Db2では1インスタンスに対し、複数のデータベースを対応させることができます。一方でOracleは1つのインスタンスには1つのデータベースというが対応という形です。このようにDb2ではデータベース環境を自由に構築できる、自由度の高いアーキテクチャーとなっております。
Db2は高速で処理することのできるXML機能を持つという特徴があります。このXML機能はバージョンを追うごとに進化を遂げており、Db2が高く評価をされている理由の一つです。
Db2はワークロード管理に特徴があります。ワークロード管理自体は他のデータベース管理システムも兼ね備えているのですが、Db2では他よりも柔軟で細かく制御できるという強みがあります。細かな設定ができるため、詳細なワークロードのコントロールが可能です。
Db2の基本的なコマンドを以下の表にまとめておりますのでご覧ください。
カテゴリ | 内容 | コマンド |
接続 | データベースへ接続 | db2 => CONNECT TO database name |
切断 | データベースの切断 | db2 => CONNECT reset |
データベース | データベース一覧の表示 | db2 => LIST DB DIRECTORY |
データベースの作成 | db2 => CREATE DATABASE sample | |
スキーマ | スキーマの一覧表示 | SELECT SCHEMANAME,OWNER FROM SYSCAT.SCHEMATA |
スキーマの作成 | create schema スキーマ名 AUTHORIZATION ユーザ名 | |
スキーマの削除 | DROP SCHEMA スキーマ名 RESTRICT | |
テーブル | テーブル一覧の表示 | db2=> LIST TABLES |
テーブルの作成 | db2=> CREATE TABLE DB2INST1.XML_TEST \ (ID BIGINT NOT NULL GENERATED ALWAYS AS IDENTITY (START WITH 1, INCREMENT BY 1, NO CACHE ), \ LASTMODIFIED TIMESTAMP NOT NULL , \ DOCUMENT XML) |
|
テーブル定義表示 | db2=> DESCRIBE TABLE table name; |
Db2を理解するために歴史や特徴、基本的なコマンドなどを簡単に解説させて頂きました。Db2を一言で表すと『SQLを初めて採用したデータベース管理システム』です。Db2の特徴として「自由度の高い環境」「アーキテクチャ」「ワークロード管理」などが挙げられます。Db2についてこの記事で記載されている最低限の内容は理解しておくようにしましょう。