フリーランスが知っておくべき請求書の書き方と提出までのポイントを解説します。請求書作成側が気を使うべきポイントが複数あるため、いざ請求書を発行するタイミングで考え始めるのではなく、受注のタイミングで考えておくのが理想です。
ビジネスには必要不可欠な請求書。しかし「請求書が使われている本当の意味」を知らない人が多いのではないしょうか。請求書の役割はサービスや業務を提供した代金を回収することにあります。つまりビジネス間で繋がった取引先同士が正しく金銭・報酬のやりとりを行うようにしています。
また双方の案件取り交わしの証明ともなるため、発注後、受注後のトラブルを防ぐためにも有効です。
請求書を発行することには発注者・受注者ともに得られるメリットが多くあります。請求書を発行することのメリットは以下の通り。
発注者側が支払いを行う際に、社内手続きで請求書が必要になるケースが多いです。仕事内容にもよりますが、基本的には案件終了後には内容と金額を記載した請求書を発行するのがマナーとなります。
一方でどうしても請求書を発行してもらえない場合などは、メールに文章で内容と金額を記載して送ってもらい、それを請求書代わりにして支払い手続きを行う場合もあります。
請求書というエビデンスがあることで、万が一報酬が振り込まれないなどのトラブルがあった場合でも、請求書があることでしっかりと報酬の請求を打診することができます。
数多くの案件を受注して仕事をしていると、どの案件についての入金がされていて、どの案件がまだだったか、曖昧になってしまう場合があります。そんな時に請求書を発行していれば、支払いしてもらった案件と、未払いの案件を明確に把握することができます。
それでは実際の請求書の作成方法について紹介します。初めて請求書を作成する場合、ゼロから作成するのはとても大変なので、WEB上に落ちているテンプレートなどを使用することをオススメします。また最近は請求書作成サービスというwebサービスも用意されており、見積書作成時に入力した情報が納品書や請求書に自動反映されるという便利な機能が付随しています。
請求書に記入する必要がある項目について詳しく紹介していこうと思います。
取引先の会社名、部署名、担当者名などを記入します。ここでよく疑問に思う方がいるのが「御中」と「様」の使い分けについて。基本的には担当者名が不明もしくは複数名おり、会社名や部署名宛で発行する場合には「御中」。
個人名宛に発行する場合は「様」をつけると覚えておけば問題ないです。またやりとりをしていた担当者ではなく、請求書は別の人宛に発行してほしい要望があるケースもあるため、事前に担当者に確認するようにしましょう。
請求書に記載する日付には、「請求書の発行日」「支払い期限」などがあります。請求書の発行日は言葉のまま、請求書を発行した日付を記入します。ここで注意したいポイントが、取引先の請求書の締め日を意識した記載をする必要があるということです。例えば月末ギリギリに納品を行い、検収を行なった案件について、請求書の発行(作成と印刷)が翌月になってしまっていても、先方と納品した月で締めてほしいという約束になっている場合は、日付は納品した月の月末にする必要があります。
また支払い期限についても必ず明記するようにしましょう。この日付についても受注者側が一方的に決めるのではなく、発注者側の支払いサイトを確認した上で、事前に取り決めた条件を記載するようにしましょう。
後から案件の確認作業を行う際に、あると便利なのが請求書番号です。これは番号発行のルールを決めて通し番号を請求書に記載するのが良いでしょう。特に同じような案件を定期的に行なっていると、この番号が無いと管理が難しくなる場合があります。
発注者、受注者、双方にとってわかりやすい名目で記載する必要があります。発注者側から案件名の指定が入る場合もあります。これは発注者側の社内手続き上、指定してくる案件名でないとスムーズに進まない場合などが考えられます。
内税か外税か、消費税の金額を記入します。内税とは消費税も含めた報酬総額を指し、外税は記載されている金額とは別に消費税がかかるということになります。
契約書を締結している場合、そこに「税込」「税抜」の指定が記載されているケースがあるので、請求書発行のタイミングに確認するようにしましょう。特に指定がない場合はと外税で記入する形で問題がないと思われます。不安な場合は取引先担当者に確認してみましょう。
また消費税改正のタイミングなど、変更前の消費税で提出してしまわないように注意しましょう。
振込手数料については、事前にどちらが負担するの確認しておきましょう。振り込まれた金額が少し少なく、振込手数料が差し引かれていたというケースもあります。また請求側が請求書にあらかじめ「振込手数料の負担をお願いいたします」と記載するケースもあります。この場合も事前に一言お願いをしておいたほうが心象が良いです。
銀行名、支店名、口座種類、口座名、口座番号を間違いないように記載します。もし入金先の口座が複数ある場合は、発注者側が振込を行う銀行との兼ね合いがあるため、そちらも合わせて記載しましょう。
取引先によって変わるため、事前に相談するようにしましょう。場合によっては源泉徴収税額を計算してあらかじめ請求書に記載すると親切です。
フリーランスの源泉徴収についての記事についてはこちら>>
作成した請求書の提出方法について、いくつかのパターンを紹介していきます。基本的には取引先のニーズに合わせて提出方法を変えるのが良いと思います。
頻繁に打合せなどで顔を合わせる取引先の場合、直接持参して手渡しするという方法が考えられます。請求書提出と合わせて「次もお願いします」という気持ちも伝えられるメリットや、郵送費がかからず原本を届けられるメリットがあります。
発行した請求書の原本を封筒に封入し、切手を貼り付けて郵送する方法です。この時封筒を含めた重量が25g以内であれば84円の切手で問題ないのですが、複数枚の書類を同封している際など、重量が25gを超過すると94円の切手が必要となるため、発送前に重量の確認を行うようにしましょう。
(2019.10月から切手代が上記に改定されます。)
取引先が請求書の原本ではなく、PDFなどの電子データで問題ないと言ってくれる場合、メールやチャットで送るのが一番労力もお金もかかりません。また送付した履歴がパソコン上に残るため、送った送ってないのトラブルも発生しづらく、請求書紛失も防ぐことができます。
フリーランスが請求書を発行する際の注意点、実際の書き方〜送付方法について解説させていただきました。大切なのは請求書発行側の都合だけで全てを決めるのでなく、取引先に確認・相談をしながら双方納得できる形で請求をさせて頂くということが重要です。細かいことで取引先の信頼を失ってしまわないように、請求書についてもしっかりと最適な形を検討するようにしましょう。