クラウドという言葉がIT業界のみならず至るところ一般的な言葉となった昨今。しかしクラウドについて説明してくださいといわれると戸惑ってしまうものではないでしょうか。益々発展を見せていくことが予想されるクラウドの分野に置いて行かれぬように最低限の知識を身に着けておきましょう。この記事ではクラウドを理解するために歴史や種類、メリット。注意点などを簡単に解説していきます。
『コンピューティングサービスをインターネット経由で利用する形態のこと』
クラウドとはクラウドコンピューティングを略して表現されるもので、様々なコンピューティングサービス(サーバー、データベースなど)をインターネット経由で利用する形態を指します。
クラウドという呼び名の由来は英語で『雲』を意味するクラウド(Cloud)を、インターネットを経由して形成されるサービスの様子に見立てて付けられました。クラウドのコンピューティング形態で提供されるサービスをクラウドサービスと呼びます。代表的なクラウドサービスとしてiCloud、Gmail、Dropboxなどが挙げられます。
クラウドコンピューティングという言葉の誕生は1997年に南カリフォルニア大学の教授であるラムナト・チェラッパ氏によって提唱されたのがはじめと言われております。大きな注目を集めるキッカケとなったのは2006年にGoogleのCEOであるエリックシュミット氏による同社のカリフォルニアでの『サーチエンジン戦略会議』の中で行われた発表によるものです。
これにより急速に全世界においてクラウドという言葉が認知されていく形となりました。クラウド関連技術の急激な発展は2008年前後のAmazon、Google、Microsoftなどの有名企業各社の製品を中心に引っ張られていきます。
クラウドの種類について見ていきましょう。
SaaS(サース)とは『Software as a Service』の頭文字を取った略語です。クラウドサーバーにあるソフトウェアをインターネットを経由してユーザーへと提供するサービスのことです。クラウドが登場する以前は何かのソフトウェアを利用する際、ユーザーは自身のコンピューターへソフトウェアをダウンロードしサービスの利用をしておりました。
一方SaaSでは、ソフトウェアを提供者側のコンピューターで稼働させており、ユーザーはインターネットを経由すればいつ何時でもサービスを利用することが可能というモデルとなっております。SaaSの特徴として必要な量や期間でのサービス利用が出来ることや異なるデバイスで自由に使用出来ることなどが挙げられます。代表的なサービスとしてG Suite、DropBox、Evernoteなどが挙げられます。
Paas(パース)とは『Platform as a Service』の頭文字を取った略語です。特定のソフトウェアを利用する為に必要なハードウェアやOSなどのプラットフォームに必要な全てをインターネット経由して提供するサービスのことです。PaaSは2007年にセールスフォース・ドットコム社が提唱したものでSaaSの発展型として誕生しました。
PaaSは『プラットフォーム』や『開発環境』を用意するものであるため企業や開発者が関わるものです。PaaSの特徴としてOSやデータベースなど開発に必要な環境が揃っており利用ユーザである開発者は開発に関するコストを抑えられることが挙げられます。代表的なサービスとしてAmazon Web Services(AWS)、Microsoft AzureやGoogle App Engineなどが挙げられます。
Iaas(イアース)とは『Infrastructure as a Service』の頭文字を取った略語です。情報システムの稼働に必要なコンピュータや通信回線などのインフラ環境をインターネット経由して利用できる環境を提供するサービスのことです。
IaaSの特徴としてホスティングの進化系と呼ばれる自由度の高さやコストを抑えてIT投資を可視化出来ることなどが挙げられます。Ia代表的なサービスとしてAmazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)、Google Compute Engine(GCE)などが挙げられます。
クラウドサービスを活用するメリットを見ていきましょう。
インターネットが利用できる環境であれば居場所を問わず必要な端末を使いどこでもサービスを利用することが出来ます。これはクラウドの普及を飛躍的に進めた代表的なメリットといえるでしょう。
サーバーやネットワーク機器などのハードウェアを自社内で所持することが不要となります。これらのハードウェアは導入する場合、初期費用に大きなコストが掛かってしまうことや所持するにはスペースの確保、定期的なメンテナンスなども必要となりランニングコストが掛かってしまいます。
クラウドサービスを活用することによってハードウェアは不要となり機器の導入費用は発生しないのは勿論のこと、スペースの確保やメンテナンスのコストなども削減できるというメリットがあります。
クラウドサービスは従量制料金を採用しているものがほとんどで予算を過剰に計上することなく、いつ何時でもビジネスシーンに合わせて必要な分に応じてサービスを利用することが可能です。
クラウドサービスを活用する上での注意点を見ていきましょう。
インターネットを経由して提供されるクラウドサービスは情報の通信における様々なタイミングで第三者にデータの盗難や改変をされるリスクがあります。クラウドサービス全般のサービス発展は著しく凄まじいスピードでセキュリティレベルの強化が行われております。しかしそのセキュリティレベルの差はサービスによってまちまちなので導入前に注意をしなければなりません。最低でも通信データの暗号化に関する手法やアクセス制御の範囲、データベースの管理方法についてなどは事前に確認をするようにしましょう。
発展の著しいクラウドサービスの領域はサービスの競争も激しいものになっております。この競争において淘汰されてしまうサービスを利用してしまっては元も子もありません。長く安心してサービスを利用するためにも、検討しているサービスの成長性と今後の計画について注意して確認しなければなりません。
クラウドを理解するために歴史や種類、メリット・注意点などを簡単に解説させて頂きました。クラウドを一言で表すと『コンピューティングサービスをインターネット経由で利用する形態のこと』です。クラウドはいつでもどこでも必要なときに必要な機能だけを利用することができる画期的な仕組みです。そしてその仕組を活用して提供されるクラウドサービスはビジネスだけでなく生活においても欠かせない存在となっております。今後、益々発展を続けるクラウドについてこの記事で記載されている最低限の内容は理解しておくようにしましょう。