SI(システムインテグレーション)とは企業や政府向けにシステム開発を請け負うサービスです。SI事業を行う組織をSIer(エスアイヤー)と呼びます。世の中の大規模なシステム開発にはほぼ全てSIerが関係しております。この記事ではSI(システムインテグレーション)を理解するために仕事内容やSIerの分類などを簡単に解説していきます。
『SIは企業や政府向けにシステム開発を請け負うサービス』
SI(システムインテグレーション)とは顧客(企業や政府)の要望するシステム開発を請け負うサービスのことです。システム要件調査からシステムの運用までシステム開発に関する幅広い業務が対象です。SIはこのシステム開発に関する一連の工程をまとめた呼び名として付けられたものです。
英語表記は“System Integration”
となっております。
※英語で表現される機会もあるため参考までに
SIer(システムインテグレーター)とはSI業務を行う企業や専門家のことを表します。SI業務をする人という意味を持たせるために”〇〇する人”を表す”er”が付けられてできた造語です。SIerについて業界では、”エスアイヤー(エスアイアー)”と呼ばれております。SIerとして有名な企業は日立製作所、富士通、NTTデータなどが挙げられます。またSIerはメーカー系、ユーザー系、独立系3分類に分けられます。
SI(システムインテグレーション)の仕事内容について解説します。SIの仕事内容は主にシステム開発工程におけるウォーターフォールモデルに沿って全てまたはその一部を請け負うことが基本とされております。今回は大きく5つに分けて見てきましょう。
ウォーターフォールモデルについて解説された記事はこちら>>
システム企画では主にシステムの概要、開発期間、開発費用などを決めす。新規システムの開発や既存システムの改修など問題点をヒアリングし、調査分析を行った上でそれに基づき、システムの企画を行い、お客様にプレゼンテーションを行います。システム企画が完了すると、これまでの擦り合せ内容に基づき要件定義を実施します。お客様はシステムに関する知識が少ないケースが多いため、要望に矛盾や欠陥が合った場合でも実現可能な内容へとまとめあげる必要があります。最終的にお客様とシステム開発者側との要件認識をしっかりと合わせる非常に重要な工程です。
システム企画の一般的な取り組みや必要な要素について解説された記事はこちら>>
要件定義の一般的な取り組みや必要な要素について解説された記事はこちら>>
設計業務は基本設計と詳細設計の業務に分けられます。
基本設計では画面や帳票などのユーザーインターフェースを設計します。ユーザーインターフェースとは、画面などの実際に利用する側が目にする見た目のことです。ユーザーにとって使いやすいシステムを開発するために非常に重要な工程です。
詳細設計では基本設計の内容をもとに開発するシステムを大まかな機能ごとに分割し、それらのコンポーネント間をつなぐインタフェースの仕様などを設計します。基本設計でのユーザー側視点と反対に詳細設計においてはプログラム設計など、開発者側の視点でシステム設計をします。この詳細設計の工程でプログラムの仕様が細かく綺麗に書かれていると、どんなプログラマーがプログラミングを対応しても品質にズレの生じないシステムが実装されます。
基本設計の一般的な取り組みや必要な要素について解説された記事はこちら>>
詳細設計の一般的な取り組みや必要な要素について解説された記事はこちら>>
詳細設計をもとにプログラム言語を用いてプログラム(モジュール)の作成を実行します。
この作業をコーディングとも呼ばれる場合があります。
テスト業務は目的に合わせて単体テスト、結合テスト、システムテスト、運用テストと複数存在します。単体テストでは作成したモジュールが設計書で要求された機能を満たしているかどうかを検証。結合テストでは複数のモジュールを組み合わせて検証。システムテストではシステムが全体をとして要求された機能や性能を満たしているかどうかを検証。運用テストでは実際の業務の流れに沿って利用してみて問題なく動作するかを検証します。
単体テストの一般的な取り組みや必要な要素について解説された記事はこちら>>
結合テストの一般的な取り組みや必要な要素について解説された記事はこちら>>
システムテストの一般的な取り組みや必要な要素について解説された記事はこちら>>
運用テストの一般的な取り組みや必要な要素について解説された記事はこちら>>
運用業務はシステムの起動や停止、そして日々動かしていく作業を指します。運転状況の監視、CPUやメモリの利用状況などシステム資源の監視も実施します。
保守業務はシステムを改善・変更する作業を指します。主にシステムの障害や改善要望に伴うプログラムやデータの改修を実施します。また周辺機器のリプレースやアップデートなども行います。
SIerはメーカー系、ユーザー系、独立系の3分類に分けることが出来ます。それぞれどういった特徴があり、どんな企業がいるのかなどを分類別に見ていきましょう。
メーカー系SIerとは、主にコンピューターに関する自社製品をもつメーカー発祥の関連会社SIerのことです。日立系、富士通系、NEC系などが有名企業として挙げられます。自社の製品(ハードウェア)とソリューションを組み合わせて提案を行えるため、一気通貫で自社完結できることが強みです。
ユーザー系SIerとは、金融・電力・保険・商社・鉄道などの事業を行う企業の関連会社SIerのことです。野村総合研究所(NRI)、NTTデータ、新日鉄ソリューションズなどが有名企業として挙げられます。それぞれが業界に特化した強みを持っており、その業界に合ったソリューション提供を行えます。
独立系SIerとは、親会社を持たないSIerのことです。メーカーや業種に依存しない分、様々な顧客に対応したSIerが存在します。メーカー系、ユーザー系の出身企業も数多く存在するため、中小企業が多く商流として2次請けとなる立ち位置が多い分類となっております。
SI(システムインテグレーション)を理解するために仕事内容やSIerの分類について解説させて頂きました。SI事業者は世の中の様々なシステム開発の請負人であることが分かりましたね。業種に特化した事業者から製品に強みを持った事業者までSIerは様々な領域が存在します。システム開発に携わるエンジニアの方はSIerとの関わりが必ずと言って良いほど発生しますのでこの記事で書かれた内容は理解しておくようにしましょう。