組み込み系システム開発とは様々な電子機器等の独立した機器に機能を搭載し仕様書通りに動くよう実現するための開発です。昨今様々な新しい電子機器が登場しているのも組み込み系システム開発があってこそなのです。そんな重要な役割を担う組み込み系システム開発とは具体的にどのような種類があり、どのような特徴を持つのでしょうか。この記事では組み込み系システム開発を理解するために種類や特徴、組み込み系エンジニアの現状などを簡単に解説して行きます。
『電子機器を正しく動作、制御するための専用コンピューターの開発』
組み込み系システム開発とは様々な電子機器等の独立した機器が仕様書通りの機能を実現するために専用のコンピューターを搭載し開発することです。皆様が日常で活用する電子機器のほとんどが組み込み系システムに該当します。例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、デジカメなど商品本体を動作させるために専用のコンピューターが搭載されております。その専用のコンピューターを商品本体が仕様書通りの機能を実現させるためにシステム構築を行うことを組み込み系システム開発と呼びます。
英語表記は“Embedded-system”
となっております。
※英語で表現される機会もあるため参考までに
組み込み系システム開発の種類を見ていきましょう。組み込み系システム開発は主にハードウェア開発とソフトウェア開発の2種類分けられます。
組み込み系システム開発におけるハードウェア開発とは文字通り、対象のシステムにおいて機械そのものの開発を行うことです。ハードウェア開発の一連の流れは、まず機能抽出とシステム設計を行います。機能抽出によって製品のスペックを決定し、システム設計では必要なハードウェアとソフトウェアを選定します。その後にハードウェア及び基盤の設計、開発を行うという流れとなっております。
組み込み系システム開発におけるソフトウェア開発とは対象の機器が必要となる機能を実現するために正しく動作及び制御させるための開発です。例えば洗濯機や炊飯器と言った家電機器の中にはマイコンという小型のコンピュータが搭載されております。これらのコンピュータの中には水が一定量に達した際に洗濯機については規定の時間分の洗濯槽を回転させるや、炊飯器についてはこのモーターは毎分規定の回転数を実現するなどの手順がプログラミングによって実現されております。このように”数値の取り込み”や”数値の計算”を実現しているのはソフトウェアの役割の一つです。
組み込み系システム開発の特徴を見ていきましょう。ここでは開発環境と開発対象となるものについて解説していきます。
組み込み系システム開発における開発環境を解説します。
OSにおいてはLinux、Windows、iTRONが主流どころに挙げられます。近年はオープンソースのLinuxが追い風で組み込み系システム開発に合った環境が同プラットフォーム内で増え続けております。開発言語についてはC言語、C++が主流となっております。C言語が組み込み系システム開発において好まれている理由はこれまでの開発事例もC言語で組まれているものが多くノウハウが数多く存在するという点、また古くに使用されていた言語アセンブラと同等の処理レベルを簡潔に記述出来るなどが挙げられております。
組み込み系システム開発において、開発対象となるものは家電製品から業務用機器まで様々なものがあります。コンピューターが搭載される電子機器はほぼ全てが対象と言えるでしょう。皆さんが毎日目にするスマートフォンもその対象の一つです。組み込み系システム開発ではほとんどの場合、コンピューターを搭載する機器側が主役となります。
組み込み系エンジニアの現状について見ていきましょう。
組み込み系エンジニアが必要となる案件(商品)は凄まじい数が増え続けております。それは上述でも説明をおこなった通り、皆様が毎日利用する家電製品などもそうです。これらは今後も言わずもがな必要とされ続けるでしょう。さらに昨今IoT化(モノのインターネット化)によって様々な電化製品が対応に急いでいる状況です。そのIoT化の際にも組み込み系システムの技術を要する場面が非常に多く需要は増すばかりです。
組み込み系エンジニアの需要が増す一方で若手エンジニアに人気が高いのはWEB系エンジニアとなっております。よって需要はあるが、供給は足りていないといったバランス崩壊が組み込み系エンジニアの市場では起こっております。Web系企業の傾向として給与面などの待遇や働く環境面などが今風でエンジニアにとって理想とする環境提供がスピード感をもって実現出来ております。またWeb系企業はPR活動にも力を入れていることもあり、メディアの露出やWeb上での口コミなど情報量も圧倒的に多いのが現実です。極めつけは採用力も高くリファラル採用やスカウティングなど様々な手法を駆使してエンジニアの採用を円滑にしております。組み込み系エンジニアを必要とする今、各企業のエンジニアの受け入れ条件や環境の見直しと採用戦略の強化が必須と言えるでしょう。
これは上述のとおり”人手不足”という点もあり若手や未経験の採用に力を入れている企業が多いからというのはもちろんです。さらにここでお伝えしたいのは組み込み系システム開発の市場には扱う商品の幅がとても広く、テスト(デバック)の際に業務系システムの開発に強みを持つオープン系システム開発などの領域に比べて参入障壁が低く参画しやすい案件が多いので経験値を積みやすいという点が挙げられます。エンジニア職における種類を検討する際にもこのようなポイントを把握しておくと選択肢を広げることが出来るでしょう。
組み込み系システム開発を理解するために種類や特徴、組み込み系エンジニアの現状について解説させて頂きました。組み込み系システム開発を一言でおさらいすると『電子機器を正しく動作、制御するための専用コンピューターの開発』です。世に様々な電子機器が生まれるにあたって無くてはならない存在なのが組み込み系エンジニアなのです。今後も需要は増す一方で人手不足が続いていくことが予測されます。エンジニア職において自分のキャリアを悩んでいる方は組み込み系エンジニアという道も視野に入れてみてはいかがでしょか?参入障壁が低いことや大手メーカーなど続々と給与体系や待遇を見直している状況は上向きの職種です。この記事を参考に一つの候補として頭に入れておくと良いでしょう。