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フリーランスが所得税について知っておきたい3つのこと

フリーランスが所得税について知っておきたい3つのこと

最終更新:2021/10/13 投稿:2019/10/10
フリーランスが所得税について知っておきたい3つのこと

今回はフリーランスが納税する税金の中でも、比較的大きな納付金額を占める所得税について詳しく解説させて頂きます。所得税の概要から計算方法、所得税を節税する為に知っておくべきことや、確定申告の方法や注意点などについて詳しくお伝えできればと思います。

フリーランスを始める前に税金について必ず把握するべき3つのことについて解説した記事はこちら

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所得税とは?[フリーランスが知っておきたいこと①]

まずは所得税の概要についてお伝えします。
所得税とは、1年間に得た所得に対して納税額が決定する税金です。1年間の所得合計が38万円を超える場合は確定申告を行い、自分で所得税額を算出し、国に納税する義務が発生します。

所得と収入の違いとは?

所得税を計算する際に必要になるのが1年間の所得金額についてです。
ここで登場する「所得」と言うのは「収入」とは異なりますので注意が必要です。

収入と所得の違い
収入とは…入ってくるお金の総額のこと
所得とは…収入から必要経費を引いた金額のこと

例えばデザイナーの収入と所得を例にあげて説明すると、取引先から振り込まれた毎月の売り上げが「収入」となり、毎月案件を納品するために使った業務に関連する経費(外注費、書籍費、デザインソフト代金など)を収入から差し引いた金額を「収益」と呼びます。

所得の種類について

所得税法で定められる所得は10種類に分別されています。フリーランスとして活動する方の大半に関わる所得が「事業所得」になります。もし不動産や株の取引を行なっている場合、それらは「不動産所得」「配当所得」に当てはまるため、そこも含めて所得税の計算を行わなくてはいけません。

所得の種類
・利子所得…預貯金や公社債の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得
・配当所得…株主や出資者が法人から受ける配当や、投資信託及び特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得
・不動産所得…土地や建物などの不動産、借地権など不動産の上に存する権利、船舶や航空機の貸付けによる所得
・事業所得…農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得
・給与所得…勤務先から受ける給料、賞与などの所得
・退職所得…退職手当や厚生年金保険法に基づく一時金などの所得
・山林所得…山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得
・譲渡所得…土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得
・一時所得…懸賞や福引、ギャンブルなどによる一時的な所得
・雑所得…上記に当てはまらない所得

出典:国税庁

それぞれの所得について、その課税方式と計算方法が異なっています。総合課税の所得の場合、最終的に他の所得と合算して税金を算出し、分離課税の所得は総合課税の所得とは切り分けて税金を算出するルールになっています。
総合課税と分離課税の分類は以下の通り。

総合課税
不動産所得、事業所得、給与所得、譲渡所得(金額による)、一時所得、雑所得

分離課税
利子所得、配当所得、退職所得、山林所得、譲渡所得(金額による)

1年間の途中で会社員からフリーランスになった方は、給与所得と事業所得を合算して所得税の計算を行う必要があります。また不動産を貸付している場合は、不動産所得を合算して計算する必要があります。

所得税の所得と税率の関係について

所得税率は課税される総所得金額が増えれば増えるほど税率も上がる「超過累進課税制度」という仕組みが取られています。4,000万円以上の所得がある方は、所得税だけでなんと所得の45%も税金を納めなくてはいけないのです。(課税控除は除く)

所得と税率の関係
所得 / 税率 / 控除額
~195万円 / 5% / 0円
195万円以上〜330万円以下 / 10% / 97,500円
330万円以上〜695万円以下 / 20% / 427,500円
695万円以上〜900万円以下 / 23% / 636,000円
900万円以上〜1,800万円以下 / 33% / 1,536,000円
1,800万円以上〜4,000万円以下 / 40% / 2,796,000円
4,000万円以上~ / 45% / 4,796,000円

出典:国税庁

この所得と税率の関係を踏まえて、以下の方法で所得税の計算を行なっていきます。

所得税の計算方法[フリーランスが知っておきたいこと②]

フリーランスの方は毎年得た収益や必要経費、その他控除などを把握した上で、所得税を自ら計算する必要があります。その実際の計算方法は以下の通りになります。

所得税の計算方法

①収入-必要経費-各種控除=課税所得金額

②課税所得金額×税率-課税控除額=所得税額

①②の順番に計算していくことで所得税額を求めることができます。

所得税計算の具体例

例えば収入が800万円で経費が200万円のフリーランスの場合。
その他控除10万円、基礎控除38万円、青色申告特別控除65万円を上記の計算式に入れて計算すると…

①800万円-200万円-10万円-38万円-65万円=546万円(課税所得金額)
②546万円×20%(税率)-427,500円(課税控除額)=664,500円(所得税額)

このケースの場合、所得税として納税しなくてはならないのは、664,500円となります。

経費で節税を行う

フリーランスの経費に対する考え方は『事業を行うに必要なお金』です。
当然ではありますが事業との関係性の無いお金については経費とはなりません。
フリーランスが事業用経費として認められる出費は以下の通り。

フリーランスの経費
「接待費交際費」/「打合せ会議費」
「通信費」
「旅費交通費」/「交通費」
「消耗品費」/「雑費」
「車両費」
「新聞図書費」
「減価償却費」
「地代家賃」
「水道光熱費」
「広告宣伝費」
「採用教育費」
「外注費」「業務委託費」
「支払手数料」

これらに当てはまる費用を経費として漏れなく計上することで、それが積み重ねって大きな節税効果を生み出します。

各経費の詳細やどのような費用が当てはまるのかといった内容を別の記事にまとめさせていただいている為、そちらも併せてご覧ください。

フリーランスが知らないと損する経費処理すべきものについてはこちら>>

各種控除で節税を行う

所得税に関する控除には大きく分けて「所得控除」と「税額控除」の2種類があります。所得控除というのは課税所得を減らすことができる控除で、一般的に節税対策の際に取り上げられるのはこちらです。一方の「税額控除」というのは最終的に算出された所得税から直接差し引かれる控除で、通称「住宅ローン」と言われる10年以上の住宅ローンを支払う際に適用される控除になります。

フリーランスが節税できる控除(所得控除)
・配偶者控除
・扶養控除
・青色申告特別控除
・専従者控除

これらの控除を適用させることで、最大限まで税金を抑えることができます。中でも青色申告特別控除は最大65万円の控除額となる為、しっかりと適用させる方法を理解して、可能であれば控除を受けられるようにしたいところです。
その他節税について詳しくまとめさせて頂いた記事も併せてご覧ください。

確定申告で所得税を決定し納付する[フリーランスが知っておきたいこと③]

確定申告とは、個人所得の計算期間(1月1日〜12月31日の期間)の収入・支出、医療費や扶養親族の状況などから所得を計算した申告書を税務署に提出し、支払う税額を確定することを言います。毎年2月〜3月頃が確定申告を行う時期となります。

確定申告は義務

フリーランスが事業を行い、1年間に生じた所得が基礎控除の38万円を上回った場合、確定申告を行う義務が発生します。ここで言う「所得」と言うのは「収入」とは異なりますので注意が必要です。ちなみに基礎控除というのは所得税や住民税などの計算を行う際に、全員一律で差し引かれる控除のことです。

確定申告の方法や必要な書類について

確定申告を行う場合、青色申告と白色申告のどちらかを選択し、それぞれ必要な書類に記入を行い、1年間の収支を記録した帳簿と併せて提出をします。
青色申告と白色申告には、提出する簿記の種類や控除金額によりいくつか種類があります。

種類/控除金額/帳簿/決算書の種類/承認手続き
白色申告/なし/単式簿記/収支内訳書/なし
青色申告/10万円/単式簿記/青色申告決算書/あり
青色申告/65万円/複式簿記/青色申告決算書/あり

まずは上記の中から自分が行う申告方法を決め、それに応じて必要な簿記に日々の収支の記録をつけていくことが確定申告の始まりになります。年末になって慌てて帳簿作成を行うととても大変なので、日頃からコツコツ帳簿づけを行なっておくことをおすすめします。
今は会計ソフトを使用することで比較的容易に記帳していくことができるため、検討してみても良いかもしれません。

確定申告を行わなかった場合

もし確定申告をうっかり忘れてしまい期限を過ぎてしまった場合や、意図的に確定申告を行わなかった場合、様々なペナルティが用意されています。故意による確定申告漏れの場合、かなり重い罰則が適用されるケースもある為、しっかりと義務を果たしましょう。
実際に用意されているペナルティを以下に記載させて頂きます。

無申告加算税

期限内に確定申告を行わなかった場合、本来の納税額に加えて、割り増しで発生する税額を「無申告加算税」と言います。この税額には基準があり、税額50万円までは15%加算、50万円を超える税額に対しては20%加算というように決められています。
このように期限から遅れてしまうことで通常の税額に対して15%〜20%も加算されると、経費や控除などを積み上げて税金を抑えた意味がなくなってしまいます。それくらいインパクトの大きなペナルティですが、税務署が調査を開始する前に自主的に遅延を申告した場合、15%〜20%の加算額が5%まで減額される場合があります。
加えて、確定申告の期限終了から1ヶ月以内に自主申告し、期限内に申告する意思があったことを認められた場合、無申告加算税は免除となります。

延滞税

確定申告を期限内に行わなかった場合、延滞税というものも発生します。こちらは遅延が長引けば長引くほど、利息のように増え続けるペナルティとなっており、確定申告を忘れてしばらく期間が経った後に気づくと、恐ろしいくらい税額が膨らんでしまっていたというケースも考えられます。滞納税は納付のタイミングによって税率が変わります。
期限日から2ヶ月以内に納付を行えば、税金に対し年7.3%か、特例基準割合+1%のうち低い方を日割りで計算して払うことになります。2ヶ月を過ぎてしまうと、年14.6%、特例基準割合+7.3%のうち低い方を日割りでという形で金額が決定します。

重加算税

基本的に納税の遅延が発生した場合、上記のペナルティが適用されるのですが、より悪質と判断される場合、「重加算税」というものが課せられる場合があります。このペナルティは本来の税額に対して35%〜40%程度増額するという設定になっています。
これほどまでのペナルティを受ける対象としては、税金の計算自体に隠蔽が見られたり、税務署から度重なる指摘を受けても改善が見られない時に発動します。

まとめ

所得税の概要、所得の種類、所得と税率の関係や、所得税の計算方法や納付方法などについて解説させて頂きました。所得税はフリーランスが支払う税金の中でも、かなり大きな割合を占める税金です。経費や控除を最大限に活用し節税を行うことで、手取りの金額に大きな差が出る場合もあります。所得税に対する正しい知識を頭に入れておくことをおすすめします。

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