CRMは顧客関係管理システムを表します。顧客管理にまつわる様々な情報を一元管理することで新規顧客の獲得や顧客との関係性構築を行うための企業活動にとても大切なツールとなっております。ではこのCRMにはどのような機能や製品が存在するのかご存知でしょうか?この記事ではCRMについて理解するために意味や歴史、基本機能、おすすめのCRMなどを簡単に解説していきます。
CRMとは顧客関係管理システムのことです。CRMという名称はCustomer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の頭文字を取った略語となっております。このCustomer Relationship Managementは日本語訳をすると『顧客関係管理』という意味を持ち、CRMの主な機能として顧客情報、顧客分析、マーケティングなどが挙げられます。
CRMの誕生は1990年代前半と言われており、約30年の歴史を経てクラウド化、AI搭載など様々な進化を遂げて現在では企業にとって無くてはならないシステムの一つとして重宝されております。代表的なCRMシステムとしてSalesforce Sales Cloud、Zoho CRM、Sunergy!などが挙げられます。
CRMの歴史について見ていきましょう。
CRMの歴史を知るには1990年代前半まで遡る必要があります。顧客管理というものはビジネス(商い)を行う企業や人の全てが必要な取り組みであるため大昔からこの概念は存在します。1990年代前半にCRMが登場することによって顧客管理をコンピュータで行う時代が訪れます。米国で誕生したことがことの発端と言われており、後に日本へも浸透していくようになりました。
1990年代後半になると多種多様なCRMパッケージが生まれていき大企業の間でCRMの導入ブームが巻き起こります。インターネットの急速な成長と共に飛躍的にCRMの導入が進んでいきますが当時は『統合型CRM』と呼ばれる顧客との接点を網羅的に管理していくという考え方の大規模なシステムとなっていたため、これまでの業務体系とCRMを親和させていくことに多くの企業が苦戦し満足に活用できないケースが散見されました。
2000年代後半になるとこれまで個別システムとして管理していたCRMが様々なアプリケーションと連携を持つ『統合化システム』として成長を遂げるようになります。中でも営業支援システムとしてCRMとの親和性が高いSFA(Sales Force Automation)との連携が大きな発展となります。
2010年代後半になるとさらなるIT技術の発展によりAIやビックデータの活用など様々な要素がCRMに取り込まれていくようになります。これまで顧客データを蓄積し、そのデータを元に調査分析を行い営業活動へと使用するという属人的な取り組みが一般的でした。
しかしAIの登場によってCRM自体が蓄積されたデータを元に最適な顧客へのアプローチ方法を示してくれるような機能を提供することも可能となりました。またこれまでCRMというのはパソコンで利用することが一般的でしたが近年ではスマートフォンやタブレットでも使用できることが標準対応として実用されることが一般化しております。
CRMの基本機能について見ていきましょう。
顧客情報管理機能はCRMにおいて最も基本的な機能であり顧客関係管理のその名の通りCRMの役割を果たすによって無くてはならない機能です。顧客を管理する上で必要となる会社名、電話番号、メールアドレス、住所、担当者情報、組織情報などの項目が用意されております。
こうした顧客管理項目は多くのCRMがカスタマイズ出来る環境を用意しており、様々な業種のニーズに答えられるようになっております。また近年では名刺管理サービスの活用によって顧客情報の取り組みが手間なくスピーディーに実現できるようになっております。
マーケティング機能は蓄積された顧客情報を活用して企業の宣伝活動を支援するために用意された機能です。主な機能としてメール配信機能、フォーム作成、見込み顧客の管理などが挙げられます。これまで蓄積してきた膨大な顧客情報をカテゴライズし新商品の宣伝を行うための一括メール配信を行うことや、年末や暑中見舞いなど取引先への挨拶など顧客関係を深めるための用途にも使用できます。
営業支援機能では企業が新たな顧客(または既存顧客)を獲得し、売上を向上させるため営業活動の様々なデータを蓄積し調査、分析するための機能です。主な機能として見込み顧客へのアプローチ管理、案件管理、予実管理、行動管理などが挙げられます。自社の営業活動の動きを正しく把握し、情報の蓄積を絶やさないことで営業活動は最大限のパフォーマンスを引き出すことが出来ます。
例えば営業活動の記録を残していなければ顧客の取りこぼしなど機会損失の場面に多数出くわすことでしょう。営業支援機能を活用することで過去の行動履歴から最適な提案時期、顧客のニーズ、顧客の性質などが明確化されることからそれらの情報を元に適切なタイミングで相手にあった最適なプランで提案活動を行えます。
CRMのメリットについて見ていきましょう。
これまで属人的な管理となっていた顧客情報を漏れなく一元管理することが出来ます。顧客情報をアナログ管理や各担当者ベースで管理している場合には会社に資産として残さなければならないはずの顧客情報が正しく蓄積されないことはよくある話です。入力の手間やフォーマットも違えば特定の担当者単位での情報入力の進捗も把握出来ません。
CRMでは入力の手間を最小限に抑え、一律されたフォーマットで不必要な二度の入力などは発生せず、特定の担当者の情報入力の進捗も把握することが可能です。こうしたことから企業活動における顧客情報を最大限に蓄積し一元管理出来るというメリットが挙げられます。
顧客情報を蓄積し、正しく管理することによってそれらを活用した戦略・行動の実施が可能となります。これらは上述でも説明をしたマーケティング機能や営業支援機能を駆使することによってCRMの性能を最大限に引き出すことが出来ます。マーケティング機能においてはメール配信機能、フォーム作成、見込み顧客の管理。営業支援機能においてはのアプローチ管理、案件管理、予実管理、行動管理。顧客情報を蓄積し正しく管理することによってこれら様々な機能の効果を最大化させることが出来ます。
SFAとは営業管理システムのことです。SFAという名称はSales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)の頭文字を取った略語となっております。企業の営業活動の成果を向上させる目的があり、顧客情報、行動記録などのデータを一元管理し、そのデータを元に分析、計画することができます。SFAの主な機能として「顧客情報管理」「案件管理」「行動管理」「予実管理」「ダッシュボード」などが挙げられます。
よくCRMと混合して考えられますが、SFAは営業活動の成果向上及び効率化が目的であり、CRMは顧客情報の可視化が目的となっています。昨今ではSFAとCRMをパッケージ化し予め両方の役割を併せ持つ製品が主流ております。代表的なSFAとして「SalesForce sales Cloud」「eセールスマネジャー」「Senses」などが挙げられます。
SFA | CRM | |
正式名称 | SalesForceAutomation(セールスフォースオートメーション) | Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント) |
誕生 | 1993年 | 1990年代初頭 |
目的 | 営業活動の成果を向及び効率化 | 顧客情報の一元管理 |
代表的な製品 | ・SalesForce sales Cloud ・eセールスマネジャー ・Senses |
・Salesforce Sales Cloud ・Zoho CRM ・Sunergy! |
MAとはマーケティング活動における見込み顧客や既存顧客へのアプローチを一元管理するシステムのことです。MAという名称はMarketing Automation(マーケティング・オートメーション)の頭文字を取った略語となっております。MAを導入することで顧客情報の管理及び蓄積、見込み顧客の育成、マーケティング施策の分析などを自動化、効率化することができます。
主な機能として「見込み顧客管理・育成」「メールマーケティング」「スコアリング」「アクセスログ分析」「ソーシャルマーケティング」「SFA/CRM連携」などが挙げられます。日本国内におけるMA市場規模は約450億円(2020年時点)にまで拡大しており、今後もさらなる発展が推測されています。代表的なMAとして「Adobe Marketo Engage」「b→dash」「SATORI」などが挙げられます。
MA | CRM | |
正式名称 | Marketing Automation(マーケティングオートメーション) | Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント) |
誕生 | 1992年 | 1990年代初頭 |
目的 | 見込み顧客の管理及び育成 | 顧客情報の一元管理 |
代表的な製品 | ・Adobe Marketo Engage ・b→dash ・SATORI |
・Salesforce Sales Cloud ・Zoho CRM ・Sunergy! |
おすすめのCRMについて見ていきましょう。
Salesforce Sales Cloud(セールスフォース・セールスクラウド)は米国に本社を構える株式会社セールスフォース・ドットコムが提供するCRMです。世界で最も利用されているCRMとして名を馳せており15万社以上の企業がSalesforce Sales Cloudを使用しております。キャッチコピーは『世界No,1のCRMで営業改革売上を劇的に伸ばそう』と掲げており、同社が得意とするSFAの領域を最大限に活かされていることが特徴です。見込み客の開拓や新規顧客の獲得、スピーディな商談成約から、スマートな営業、カスタマーサービス、マーケティングまで、さまざまな側面からビジネスの革新と成功をサポートします。
Zomo CRM(ゾーホー・シーアールエム)は米国に本社を構えるZoho Corporation社が提供するCRMです。様々なCRMの中でも低価格でのサービス提供を実施しており、初期費用も一切かからず少ない希望の事業者でも気兼ねなくはじめられることから600万人以上の総ユーザー数を実現しております。キャッチコピーは『よりスピーディーに、もっと成果を。』と掲げております。最適なタイミングで見込み顧客へのアプローチをし、各チャネルでそれらの見込み顧客を惹きつけます。様々方法でより多くのお取引をまとめられるように
36もの機能を提供していることが同製品の特徴です。
Synergy!(シナジー)はシナジーマーケティング株式会社が提供するCRMです。総合顧客管理システムのクラウドサービスとして人気の国産CRMとなっております。Synergy!伝えたいマーケティングメッセージを、顧客にきちんと届けるために。本当に必要な機能だけを厳選し、成果につながる製品を目指しました。集客、顧客情報の統合・一元化、クロスチャネル・メッセージング、分析まで、CRMのあらゆる活動を支えるシステムです。同製品の特徴として使いやすさを徹底的に考えた画面デザイン、個人情報を安心して扱える堅牢なセキュリティなどが挙げれます。
kintone(キントーン)はサイボウズ株式会社が提供するCRMです。顧客管理機能以外にも業務効率化を実現するにあたって様々な機能がプラットフォームに用意されており、自社の業務に合うように自由にかつ簡単にカスタマイズすることが可能な製品です。同特徴として、バラバラな情報が一つにまとまる、見えるかでチームの意識が一つに、チームのメンバー全員が使いやすい、働く場所や時間を自由にの4点が挙げられます。
Knowledge Suite(ナレッジスイート)はナレッジスイート株式会社が提供するCRMです。
SFA/CRMにグループウェアがついた統合ビジネスアプリケーションとし5,900社以上の導入実績を誇ります。同製品の特徴としてビジネスに必要な様々な機能が連動しオールインワンで用意されていることや名刺管理と顧客台帳が連携されていることなどが挙げられます。顧客情報と営業報告の入力だけで営業プロセスを可視化し、PDCAサイクルの高速化を実現するクラウド型CRMとして人気のサービスです。
Hubspot(ハブスポット)はHubSpot Japan株式会社が提供するCRMです。企業と共に成長するプラットフォームをキャッチコピーにマーケティング、セールス、カスタマーサービスの各ソフトウェアをつなぐ総合的なプラットフォームを提供しています。その中核を担うのが、完全無料のCRMソフトウェアです。それぞれのソフトウェアは単体でも大きなメリットがありますが、組み合わせることで何倍もの効果を発揮します。
CRMを理解するために意味や歴史、基本機能、おすすめCRMなどを簡単に解説させて頂きました。CRMを一言で表すと『顧客関係管理システム』です。CRMの主な機能をおさらいする顧客情報、顧客分析、マーケティングなどが挙げられます。またメリットとしては『会社の資産となる顧客情報を一元管理』や『顧客情報を活用した戦略・行動の実施』などが挙げられます。CRMについてこの記事で記載されている最低限の内容は理解しておくようにしましょう。