ERPは統合基幹業務システムを表すソフトウェアの種類の一つです。主に大企業において多くの企業が経営資源を有効活用するために利用しております。皆さんはERPにどのような機能が存在し、どのようなパッケージ製品が有るのかをご存知でしょうか?この記事ではERPを理解するために忌みた歴史、メリット、デメリットなどを簡単に解説していきます。
ERPとは統合基幹業務システムのことです。ERPという名称はEnterprise Resources Planning(エンタープライズ・ソリューション・プランニング)の略語となっております。このEnterprise Resources Planningとは日本語訳やると『企業資源計画』という意味を持ち、企業全体の経営資源を有効活用するために様々な経営における観点を統合的に管理・効率化を図るための手法となっております。
Enterprise Resources Planning(企業資源計画)を実現するためのソフトウェアをERPパッケージと呼びます。代表的なERPパッケージとしてSAP、GLOVIA、Oracle ERP Cloud、OBIC7などが挙げられます。
ERPの歴史を知るには1970年代まで遡る必要があります。1970年代に企業の業務プロセスを電子化する時代が訪れました。この頃は汎用コンピューターといういわゆる大型のコンピュータが作動し計算・集計などを行い会計・経理業務などにおいて活用されておりました。1990年代に入るとBPR(Business Process Reengineering)ブームが世界中で巻き起こります。
BPRとは業務改革を表すものです。これをキッカケにこれまで部門別に業務プロセスを管理していた取り組みを見直し、企業全体の最適化を図るに相応しい統合管理型のERPが注目を集めるようになります。日本の各大手企業がERP導入の波に乗り始めたのが2000年初頭です。
当時日本はバブル崩壊していたこともあり、欧米諸国に比べて浸透するスピードが出遅れる形になりました。2010年代に差し掛かるとIT技術の急速な発展により様々なサービスのクラウド化が進みERPもその波に乗ります。
これまでオンプレミス型でのERP導入が主流でしたが年々クラウド型への切り替えが進んでおり2020年代初頭にはクラウド型の導入率が逆転するとの見通しが立っております。
ERPの基本機能を見ていきましょう。
販売管理機能とは企業が注文を受けてから顧客からの支払いを経て、納品するまでの一連の流れを管理する機能のことです。主な機能として見積管理、受発注管理、在庫管理、販売実績管理などが挙げられます。見積管理は見積書の作成・発行。受発注管理は受注・発注状況の管理。在庫管理は仕入、出荷、納品の管理。販売実績管理は売上情報、分析データの管理。このように販売にまつわる全ての業務を一元管理するための機能が用意されております。
生産管理機能とは製造工程を伴う企業が生産・調達計画や在庫管理などを効率よく計画・管理するための機能のことです。製造業がERPを導入する際に最も重要視して機能選定を行うのがこの生産管理です。製造が開始されるルートは企業によって様々で受注生産・見込生産など多種多様な管理方法が必要とされます。またこの生産管理は販売管理と密接な関係を持つ機能が多いです。
会計管理機能とは外部ステークホルダーに対して経営状況を提示する財務会計と内部ステークホルダーに対して提示する管理会計と大きく2つの役割を持ちます。財務会計は外部ステークホルダー(投資家や債権者)に対して経営状況を提示するために財務諸表の作成を主とし資産、負債、純資産の明確化をします。管理会計は内部ステークホルダー(経営者や従業員)が経営状況を正しく把握するために売上、仕入、債権などの会計情報を管理するためのものです。
人材管理機能では採用、人事配置、人事評価、退職など人事に関する一連の流れや勤怠管理、教育・育成、給与計算などといった人事労務に関する全てを管理する機能のことです。社内リソースを可視化することによって採用・募集が必要なポジションの把握や適切な配置換えの検討などが行なえます。また労働基準法に則った社員満足度の高い福利厚生の提供や人事評価を実施するためにも有効に活用されます。
ERPの導入方法を『オンプレミス型』と『クラウド型』に分けて見ていきましょう。
オンプレミス型でERPの導入を実施する場合には自社内に必要なサーバー、ネットワーク、ソフトウェアや機器等の設備を用意して自社内でシステムのインストールから運用・管理まで行います。自社専用に必要な全てを用意、構築するため最適なカスタマイズが可能というメリットが挙げられます。一方で初期コストや導入までの時間が大幅に掛かってしまう傾向にあり、メンテナンスやセキュリティに伴う継続したコスト負担も発生します。
クラウド型でERPの導入を実施する場合にはインターネットに接続する環境とデバイスのみがあれば利用できます。そのためオンプレミス型と比較したもサーバにインストールして、ネットワークを構築するようなインフラ環境を構築、整備するような必要もありません。ERPのソフトウェアライセンスの購入のみですぐに使える環境が提供されます。
クラウド型ERPを導入する際に『パブリッククラウド』『プライベートクラウド』いずれかの選択が必要です。わかりやすく説明をすると分譲マンション(パブリッククラウド)と一軒家(プライベートクラウド)のような違いです。クラウド型では初期コストを抑えて導入までの時間も要することなく運用を開始出来るというメリットが挙げられます。一方でカスタマイズやシステム連携には制限があるケースが多いという懸念が挙げられます。
おすすめのERPパッケージを見ていきましょう。
GRANDIT(グランディット)はGRANDIT株式会社が提供するERPパッケージです。純国産の完全WER-ERPとして1,150社以上の企業に導入実績があります。GRANDITの特徴は業務効率を高める“守りの経営”と、競争力を高める“攻めの経営”の両方に寄与しているということです。
次世代コンソーシアム方式により、コンソーシアム各社の技術、ノウハウと経験を進化系ERP「GRANDIT」に集約。そして完全WEB-ERPで展開する、卓越した操作性と運用性を実現しております。会計、販売、生産、人事などの企業経営に必要な業務全てを統合し、業務の効率化・可視化を最大限に実現した完全WEB-ERPとして人気を集めております。
OBIC7は株式会社オービックが提供するERPパッケージです。1997年にサービス提供を開始しこれまで20,000社を超える企業がこちらの製品を導入しております。その実績はERP主要ベンダーにおけるERP累計導入社数シェア17年連続No.1に選ばれるほどです。OBIC7の特徴は圧倒的に豊富なERPソリューションラインナップを取り揃えていることです。
会計を中心とする基幹システムと、豊富な業種・業務向けソリューションとの連携により企業に最適な業務統合と効率化を実現しております。さらに同社は開発、販売、運用の全てを一社完結で実現しており安心できるサービス提供体制があることも人気の理由となっております。
ZAC(ザック)は株式会社オロが提供するクラウドERPパッケージです。プロジェクト型ビジネスに特化しており600社17万ライセンスに導入されている実績を持ちます。ZACの特徴はプロジェクト収支の見える化であり1つのプロジェクトの売上に対して外注費や仕入費、労務費、経費などの関連コストをすべて紐付けることができるため、プロジェクト別の収支を一目で把握することが可能になります。
また受注前の見込案件から情報の登録をすることで精度の高い売上・利益予測を実現することも同製品の特徴です。IT、コンサルティング、クリエイティブなど多くの成長企業に支持されております。
奉行V ERPは株式会社オービックビジネスコンサルタントが提供するクラウドERPパッケージです。奉行V ERPはあらゆるクラウド環境に適しており、プライベートクラウドでもパブリッククラウドでも、IaaS・PaaS・SaaS、どんなクラウド環境でも利用できます。また同製品の特徴として中堅企業の業務ニーズに応えられる内部統制やIFRS対応はもちろん、幅広い業務に対応します。部分最適から全体最適、グループ運用最適までお客様の業務ニーズに応じて導入できます。
NetSuite(ネットスイート)は日本オラクル株式会社が提供するクラウドERPパッケージです。NetSuiteは全世界で利用されておりその数200カ国、20,000社を超える顧客が採用しビジネス推進をしております。同製品の特徴としてグローバル展開に最も適したERPとして19言語・190以上の通貨に対応しております。また経営管理基盤であるERPとCRMやPSAなど企業運営に必要な全てを統合したパッケージシステムとして世界で多大な人気を集めております。
Freee(フリー)は会計ソフト・クラウド給与ソフト共に国内No.1シェアのfreeeが提供する、中堅企業向けクラウドERPです。『会社を伸ばす攻めのバックオフィス』をキャッチコピーに資金調達TOP100社中41社で導入されている実績を持ちます。同製品の特徴として必要な入力は一度だけで済むような構造となっており業務や部門間で分断されていたデータを一元化し、作業の重複や転記ミスを削減できます。
またペーパーレスで作業効率を向上するための仕組みも揃っており紙書類の記入・管理コストを一掃。出先でも申請・承認が可能で、過去の書類や申請の管理も簡単になっております。ユーザーインターフェースもとてもスタイリッシュで直感的に操作が出来る仕様となっており人気を集めております。
ERPを理解するために意味や歴史、メリット・デメリットを簡単に解説させて頂きました。ERPを一言で表すと『統合基幹業務システム』となります。統合基幹業務システムは
企業全体の経営資源を有効活用するために様々な経営における観点を統合的に管理・効率化を図るための手法のことです。ERPの市場規模は年々高まっておりこれまでオンプレミス型での導入が主流でしたが2020年初頭にはクラウドでの導入率が逆転すると言われております。ERPについてこの記事で記載されている最低限の内容は理解しておくようにしましょう。