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業務委託契約を理解する!種類、注意点や請負契約と準委任契約の違いなどを簡単に解説!

業務委託契約を理解する!種類、注意点や請負契約と準委任契約の違いなどを簡単に解説!

最終更新:2021/05/21 投稿:2019/12/26
業務委託契約を理解する!種類、注意点や請負契約と準委任契約の違いなどを簡単に解説!

業務委託契約とは自らの業務を第三者に委託する際に結ぶ契約のことです。リソース不足が深刻な問題となっているシステム開発の業界において盛んに行われている契約の一種となります。特にこの業界でフリーランスとして活躍なされる方は関わる機会の多い契約手法となりますので必ず把握しておかなくてはなりません。では業務委託契約にはどのような種類があり、どのような注意点があるのでしょうか?こちらの記事では業務委託契約を理解するために種類、注意点、請負と準委任の違いなどを簡単に解説していきます。

業務委託契約とは

『自らの業務を第三者に委託する契約』
業務委託契約とは、自らの業務を何らかの理由で外部の会社や個人の第三者へ委託をする際の契約のことです。業務委託契約には直接的に民法及びその他の法律に規定があるものではありません。業務委託契約には「請負契約」と「準委任契約」が存在し、これらは法律上で定められております。この請負契約と準委任契約には様々な違いがありますがわかりやすい特徴としては成果物が問われるのが請負契約、問われないのが準委任契約となります。その他に業務委託契約における共通の特徴として指揮命令権が発生しないということが挙げられます。

英語表記は “Outsourcing contract”
となっております。
※英語で表現される機会もあるため参考までに

業務委託契約の他に主流な契約形態として『雇用契約』と『派遣契約』が挙げられます。

業務委託契約の種類

業務委託契約の主な契約の種類である請負契約と準委任契約の2種類について見ていきましょう。

請負契約

請負契約とは特定の業務を完成させることを成果物として、その成果物の対価が報酬として支払われることを約束する契約です。民法第632条(請負)にもその定めが記されております。請負契約の業務の例としてはシステム開発、建物の建設などが例として挙げられます。また講演やコンサートといった目に見えない業務も含まれる場合があります。

民法第632条(請負)
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

請負契約の業務例
・システム開発
・建物の建設
・講演、コンサート

請負契約について特徴や注意点が解説された記事はこちら>>

準委任契約

準委任契約とは特定の業務の作業を目的として、成果物は問われずに作業時間に対しての報酬が支払われることを約束する契約です。民法第643条(委任)、656条(準委任)にもその定めが記されております。準委任契約の業務の例としてはPCを使った入力作業、ビルの警備などが例として挙げられます。またシステム開発の支援についてもこの準委任の契約で業務委託が行われる場合もあります。

民法第643条(委任)
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

民法第656条(準委任)
この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

準委任契約の業務例
・PCを使った入力作業
・コールセンターの対応業務
・ビルの警備
・システム開発の支援(一部)

準委任契約について特徴や注意点が解説された記事はこちら>>

請負契約と準委任の違い

請負契約と準委任契約の違いについて下記の表をご参考にしてください。

請負契約 準委任契約
報酬 成果物を対価に支払われる 実労働を対価に支払われる
瑕疵担保責任 瑕疵担保責任有り 瑕疵担保責任無し
契約の解除 依頼人は仕事の完成前に解除可能 当事者はいつでも解除可能
(契約期間の定めがない場合)
指揮命令権 無し 無し
報告義務 原則無し 有り(委託者に従い速やかに)

報酬

報酬とは契約において委託者より受託者に対して支払われる金銭のことです。
請負契約においては契約時に定められた成果物の納品に対して報酬が支払われます。準委任契約においては契約時に定められた業務における実労働に対して報酬が支払われます。

瑕疵担保責任

瑕疵担保責任とは受託した業務における成果物に瑕疵(何かしらの欠陥や欠点)が発見された場合に受託者に対して委託者が納入後であったとしても一定期間について責任を持って修正、追加等の対応を実施することです。請負契約においては瑕疵担保責任が発生します。準委任契約には瑕疵担保責任は発生しません。

契約の解除

契約の解除とは委託者と受託者の間で既に結ばれた契約において一方の当事者の意思表示によって既に有効となっている契約について効力を解消し、契約を初めから無くなったと同様に解除出来る権利のことです。請負契約においては相手方に責務不履行がある場合、委託者は成果物の完成前に解除することが可能です。準委任契約において契約期間の特別な定めがない限り当事者はいつでも解除することが可能です。

指揮命令権

指揮命令権とは労働における雇用契約を元に雇用者が労働者に対して業務の指示を行う権利のことです。こちらの指揮命令権については請負契約、準委任契約ともに委託者側には発生しません。指揮命令権が発生するものとしてシステム開発の支援を一人称または少数体制で客先常駐型で実施する『SES(システムエンジニアリングサービス)』という取り組みにおいて例を挙げると、業務委託契約以外に派遣契約というものが存在します。この派遣契約については委託者に指揮命令権が発生します。

報告義務

報告義務とは委託者が受託者に対して発注した業務の進捗や取組手段について状況を報告する義務のことです。請負契約においては業務の完成させるための手段は受託者に委ねられており、業務の進捗についても報告の義務をおいません。準委任契約においては委託者から請求がある場合には、いつでも速やかに業務の進捗や取り組み手段についてその経過及び結果について報告をしなければならない義務をおいます。

再委託

再委託とは委託者から請けた業務を受託者がさらなる第三者へと業務の委託を行う行為のことです。特にシステム開発の業界にて度々見受けられます。再委託によって開発リソースの供給や業務の効率を高めることがメリットとして挙げられる一方で、大元の委託者である顧客の視点からすると情報漏えい、管理体制の貧弱化などが懸念されております。請負契約においては再委託可能となっております。準委任契約において再委託は原則禁止とされております。

業務委託契約における注意点

業務委託契約における注意点を請負契約と準委任契約それぞれでシステム開発における視点で見ていきましょう。

請負契約における注意点

請負契約は成果物に対しての報酬が約束された契約です。このことから成果物として納品されたものに瑕疵が発見された場合にはそれを担保する責任が生じます。これを瑕疵担保責任と呼ぶのですが、この定めにおいて瑕疵担保責任が問われる期間とその責務について具体的に契約時に決めておく必要があります。また委託業務の中で請負人が不正や契約違反を行った場合に委託者への損害が発生した際には損害賠償の請求権が委託者に発生します。この損害賠償についても損害賠償の範囲と上限について契約時に決めておく必要があります。委託者からの契約内容の提示を受けた際に注意を払って確認するようにしましょう。

請負契約の注意点
①瑕疵担保責任の期間と責務について
②損害賠償の範囲と上限について

準委任契約における注意点

準委任契約とは作業に対しての報酬が約束された契約です。成果物の問われる請負契約と違い瑕疵担保責任は問われません。準委任契約においてはこの成果物が問われないという部分がポイントで作業範囲が明確に設定しづらいところが注意点として挙げられます。契約時に契約に該当する作業範囲を細かく擦り合せをしておかなければ受託者側が想定よりも広範囲の業務をせざる負えない状況になりかねません。
また契約解除についても民法651条の定め条、委託者及び受託者側双方にいつでも契約を解除する権利が与えられております。(※契約の内容に定めのない場合に限る)このため基本契約書や個別注文書に記される契約期間や契約解除についての取り決めは突然依頼が打ち切られるケースを避けるためにも最低1ヶ月以上前の告知を条件に盛り込むなど慎重に行いましょう。

準委任契約の注意点
①業務範囲の定めについて
②契約解除の時期と告知方法について

まとめ

業務委託契約を理解するために種類や注意点、請負契約と準委任契約の違いについて解説させて頂きました。業務委託契約を一言で表すと『自らの業務を第三者に委託する契約』です。フリーランスとしてシステム開発の一部の受託者に回る際にはまずその契約が請負契約なのか準委任契約なのかを確認するだけでなく、それぞれによって注意すべき点や効力のある内容が変わってくることを予め把握しておきましょう。請負契約と準委任契約の違いでも触れた報酬、瑕疵担保責任、契約の解除については特に重要な3要素となりますので委託者側と対等な知識をもって話が出来るようにしましょう。

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