帳簿はフリーランスの方が事業活動を実施するにあたって日々取引に関する内容を記帳することを国税庁によって義務付けられた大切な帳面のことです。この帳簿はフリーランスの方が事業での売上や利益等の収支、そして必要な仕入れ、経費等の内容を確定申告の際に証明するために活用します。帳簿への記帳活動が自身の収める税金などに直結するためフリーランスとして帳簿への理解は必須と言えます。ではこの帳簿にはどのような種類があり、どのような注意点が存在するのでしょうか?こちらの記事では帳簿を理解するために帳簿の種類、注意点などを簡単に解説していきます。
『事業に関する収支や諸経費を記すために作成が義務付けられた帳面』
帳簿とは会社やフリーランス等の個人が事業を行うにあたって資産の管理や取引の管理を明確に記録するために法令によって作成が義務付けられた帳面のことです。帳簿では年に一度の決算書の作成に備えて各種資産等の管理及び取引の記録を記帳する必要があります。
これは決算書の作成における内容の根拠を示すために非常に大切であり、法令によって義務付けられております。フリーランスや個人事業主における帳簿には法定帳簿と呼ばれる法令によって記帳が義務付けられた損益計算書、貸借対照表が代表的なものとして挙げられます。また任意帳簿としてその他補助簿と呼ばれる現金出納帳や預金出納帳など用途に応じて様々なものが存在します。
帳簿の種類について主要簿と補助簿に分けて見ていきましょう。また帳簿と深い関係性を持つ決算書である損益計算書と貸借対照表についても解説します。
主要簿とは事業活動における全ての取引について記帳を行うために必要な帳簿です。主要な主要簿として「総勘定元帳」「仕訳帳」の2種類が挙げられます。なお、これらの主要簿については会社法で作成が義務付けられております。フリーランスにおいても青色申告にて650,000円の控除を受けるために必ず必要となります。
総勘定元帳とは事業における全ての取引を勘定科目ごとに仕訳帳に記帳されている内容を整理して詳細にまとめた主要簿の一種です。総勘定元帳には主に「日付」「相手勘定科目」「摘要」「借方」「貸方」「残高」6項目を記帳していきます。
仕訳帳とは事業における全ての取引を日付順に記帳した主要簿の一種です。仕訳帳には主に「日付」「借方勘定科目」「借方金額」「貸方勘定科目」「貸方金額」「摘要」6項目を記帳していきます。
補助簿とは事業活動における様々な取引の細かな記帳を行うために必要な帳簿です。主要な補助簿として「現金出納帳」「預金出納帳」「売掛帳・買掛帳」「経費帳」などが挙げられますがこれらの作成目的は確定申告や決算書の作成における根拠を示すものとなります。フリーランスの方が必要とする機会のある補助簿について見ていきましょう。
現金出納帳とは事業における日々の現金の収支に関する情報を取引日時及び用途と共に詳細に記帳してまとめた補助簿の一種です。現金出納帳には主に「日時」「科目」「摘要」「収入金額」「支払金額」「差引残高」の6項目を記帳していきます。
預金出納帳とは事業における入出金を管理する預金口座に関するお金の動きを記帳してまとめた補助簿の一種です。預金出納帳には主に「日付」「科目」「摘要」「預入」「引出」「残高」の6項目を記帳していきます。
売掛帳とは事業における掛取引の発生時に未回収の売上代金を記帳してまとめた補助簿の一種です。売掛帳には主に「日付」「科目」「摘要」「借方」「貸方」「残高」の6項目を記帳していきます。
買掛帳とは事業における掛取引の発生時に未払いの支払いに関する情報を記帳してまとめた補助簿の一種です。買掛帳には主に「日付」「科目」「摘要」「借方」「貸方」「残高」の6項目を記帳していきます。
経費帳とは事業活動に必要な通信費や交通費といった必要経費に関する情報を記帳してまとめた補助簿の一種です。経費帳には主に「科目名」「日付」「摘要」「用途」「金額」の5項目を記帳していきます。
経費処理が出来るものについて解説された記事はこちら>>
固定資産台帳とは事業用に所有する建物や車両などの減価償却資産に関する情報を記帳してまとめた補助簿の一種です。固定資産台帳は主に「日付」「摘要」「取得」「償却額」「異動」「現在」「備考」の7項目を記帳していきます。
決算書とは事業活動における一定期間の収支や取引、資産状況を確認及び報告するために必要な書類です。帳簿に記帳された情報は最終的に決算書にまとめられます。決算書において主要となる「損益計算書」と「貸借対照表」について見ていきましょう。
損益計算書とは事業の利益などの収益の確認が出来る法定で記帳が義務付けられた決算書の一種です。損益計算書には主に収益、費用、利益の3項目を記帳する必要があり、1年間を通じてどれくらいの利益が出たのかを明確にするためものです。この3項目を記帳することによって「売上に関する記録」「費用に関する記録」「利益に関する記録」を正しく把握することができます。また損益計算書では決算における最終的な利益を算出することが目的であり、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つの利益区分を明確にすることができます。
英語表記は “Profit and Loss Statement”
となっております。
※英語で表現される機会もあるため参考までに
損益計算書は英語表記を略して『PL』と呼ばれることがあります。
貸借対照表とは事業における資産、負債に関する状況を管理するために法定で記帳が義務付けられたに決算書の一種です。貸借対照表には企業や事業者が所有する「資産」と支払い及び返済義務のある「負債」、資産と負債の差し引きを行った「純資産」の3観点を記帳する必要があり、1年間を通じてどれくらいの資産や負債があるのかを明確にするためのものです。
この3観点を記帳することによって「資産に関する記録」「負債に関する記録」「純資産」を正しく把握することができます。貸借対照表における資産の部は、「流動資産」「固定資産」の2つに分けられます。負債の部も同様に、「流動負債」「固定負債」の2つに分けられます。純資産の部には資本金や過去の利益の合計などが記載されます。
英語表記は “Balance Sheet”
となっております。
※英語で表現される機会もあるため参考までに
貸借対照表は英語表記を略して『BS』と呼ばれることがあります。
フリーランスが必要な帳簿について青色申告と白色申告の2つのパターンを見ていきましょう。
青色申告と白色申告の違いについて解説された記事はこちら>>
確定申告が必要となる場合について解説された記事はこちら>>
青色申告を実施する場合には事業に関する日々の取引内容を明確にし根拠を示すための備付帳簿の提出が定められております。備付帳簿には「総勘定元帳」「仕訳帳」「現金出納帳」「預金出納帳」「売掛帳」「買掛帳」「経費帳」「固定資産台帳」の8つがあります。
白色申告を実施する場合には、収入金額と必要経費が明確に記帳されていれば帳簿の書式は問わずと青色申告と比べても非常に簡易的な定めとなっております。記帳が必要な内容としては「日付」「売上先」「仕入先」「金額」「摘要」の5つの項目を一つにまとめた帳簿が必要となります。
フリーランスの方が帳簿に関して注意すべきことを見ていきましょう。
確定申告の際に必要となる決算関連の書類である帳簿について保存すべき期間が国税庁によって定められております。帳簿書類等の保存期間は確定申告書の提出期限の翌日から7年間です。帳簿には上記で説明をした種類全てが含まれております。
帳簿の保存方法は国税庁によって原則「紙」での保管が指定されております。基本的に電子データ(Excekや会計ソフト)で作成されることがほとんどかと思いますので確定申告の際に保存用として印刷するようにしましょう。
事業者として日々忙しい中での帳簿への記帳作業は手間が掛かることからつい後回しにしてしまいがちです。ですがこの記帳活動を怠ってしまうと「こんな膨大な記帳手に負えない」「この経費の用途が思い出せない」など作業が追いつかなくなってしまったり、必要な経費の申請に漏れが出てしまったりと良いことはありません。毎月月末時に締めの作業の一環として定期的に記帳作業を勧めていくことをおすすめします。
フリーランスの方が必要な帳簿を理解するために種類や注意点について解説させて頂きました。帳簿を一言で表すと『事業に関する収支や諸経費を記すために作成が義務付けられた帳面』です。フリーランスの方である以上、事業の内容や規模は問わず帳簿の作成は義務付けられております。そして青色申告に至っては上記で説明した8つの種類の帳簿が必要です。はじめは手間も掛かり工数負担も大きい為、敬遠しがちになりますが正しい納税活動を行うためにも必ず必要となる大切な作業です。帳簿に関する正しい理解をした上で、漏れなく記帳活動を行い、納税時に余計な金銭的負担が掛からぬようにしましょう。