高水準言語とはプログラミング言語の記述抽象度が高いもののことで記述者となる人間が理解しやすいように作成された言語です。この記事では高水準言語を理解するために初心者でも分かる特徴、代表的な種類、基礎知識などを簡単に解説していきます。
高水準言語とはプログラミング言語の記述抽象度が高いもののことで記述者となる人間が理解しやすいように作成された言語です。高水準言語はまたの名を「高級言語」と呼びます。ここで使われる「高水準」「高級」といった言葉は階級や地位、程度や品質が高く優れていることを意味していません。
機械語と呼ばれるコンピューターが理解するための命令系は0と1の羅列を組み合わせたものとなるため、人間が理解をしやすいようにするための目的として高水準言語は開発されました。実行方式は「コンパイラ方式」「インタプリタ方式」の2種類があります。特徴として「分かりやすい」「汎用性が高い」「移植性が高い」などが挙げられます。
高水準言語と低水準言語の違いを記載した表を見ていきましょう。
高水準言語 | 低水準言語 | |
対象 | ソフトウェア | ハードウェア |
難易度 | 難易度低い (人間が理解しやすい) |
難易度高い (機械語に近い) |
速度 | 低水準言語に劣る | 高水準言語より優れる |
実行方式 | ・コンパイラ方式 ・インタプリタ方式 |
アセンブラ |
言語の種類 | Java、C言語など | 機械語、アセンブリ言語など |
高水準言語の実行方式を見てきましょう。
コンパイラ方式とは人間が書いたプログラム(ソースコード)をコンピュータが理解できる形式(機械語)に変換する実行方式のことです。コンパイラという言葉は英語の『compile』を表し、『編集する』を意味します。コンパイラ方式の特徴は『処理速度が早い』ということが挙げられます。代表的なコンパイラ言語としてJava、C言語、C++などが挙げられます。
コンパイラ言語のメリット・デメリットなどの基礎知識を解説している記事はこちら>>
インタプリタ方式とは、人間が書いたプログラム(ソースコード)をコンピュータが実行する際に1行ずつコンピュータが読み取りやすいように機械語に翻訳していきながら、そのプログラムを実行する方式です。インタプリタという言葉は英語の『Interpreter』を表し、日本語訳すると『通訳』を意味します。インタプリタ方式の大きな特徴として『コンパイルが不要』ということが挙げられます。そのためプログラムの確認や修正が容易であるというメリットがあります。一方でコンパイラ言語に比べて『実行速度が遅い』というデメリットがあります。代表的なインタプリタ言語としてPHP、Ruby、Pythonなどが挙げられます。
インタプリタ言語のメリット・デメリットなどの基礎知識を解説している記事はこちら>>
高水準言語の特徴を見ていきましょう。
高水準言語は分かりやすいという特徴があります。機械語と呼ばれるコンピューターが理解するための命令系は0と1の羅列を組み合わせたものとなるため、人間が理解をしやすいようにするための目的として高水準言語は開発されました。高水準言語には様々な種類が存在しますが、そのほとんどが「if文」「for文」などの英文法で記述されるなど分かりやすいようになっています。低水準言語と比較しても学習コストが低いです。
高水準言語は汎用性が高いという特徴があります。高水準言語はハードウェアには依存せず、様々なコンピュータで動作するソフトウェアを開発することができます。
高水準言語には様々な目的に合わせた言語があるという特徴があります。
プログラミング言語 | 目的 |
COBOL | 共通事務処理用言語 |
BASIC | 初心者向けの手続き型プログラミング言語 |
Java | ハードウェアに依存しないオブジェクト指向言語 |
C++ | オブジェクト指向プログラミングができるC言語の拡張版 |
代表的な高水準言語を見ていきましょう。
JavaとはOracle社が開発・提供するオブジェクト指向のプログラミング言語です。1995年にサン・マイクロシステムズ(後にOracle社が買収)のジェームス・ゴブリン氏によって開発されリリースとなりましたJavaの登場によってオブジェクト指向が主流の時代が訪れたと言われております。Javaのキャッチコピーは「Write once, run anywhere」で直訳すると「一度書けば、どこでも実行できる」という意味があります。このことからも分かるようにJavaの特徴は『オブジェクト指向の先駆者』で『どこでも動く』ということらが挙げられます。世界中で最もポピュラーで多くのWebアプリケーションで採用されていることで知られております。
C言語とはAT&Tベル研究所のデニス・リッチー氏が中心となって開発し1972年に誕生したプログラミング言語の一種です。汎用性の高いプログラミング言語としてソフトウェアの開発からコンピューター機器、自動車などのハードウェア製品の開発にも採用されております。また手続き型言語であり、構造化プログラムに適しているという特徴があります。C言語は現在活躍する様々なプログラミング言語のモデルとなっており中でも代表的なのがJavaやC++、C#などです。日本の大学や専門学校の講義でもプログラムの基礎を学ぶための授業としてC言語が採用されることが多いです。
BASICとは米国ダートマス大学のジョン・ケメニー氏、トーマス・カーツ氏によって1964年に開発された手続き型プログラミング言語です。BASICは初心者向けのプログラミング言語として1970年代以降広く利用されておりました。
誕生当初のBASICは一般的なプログラミング言語が必要とする様々な宣言を不要とし、利用者が必要な処理だけでプログラムとして成立することや、文字列の扱いが容易で文字列操作の機能が豊富なこともあり初心者でもプログラミングを容易に始められるという特徴がありました。プログラムの記述においてより自然に近い「INPUT」や「PRINT」などの言葉を使用できるようになったのもこのBASICからと言われております。
COBOLとは事務処理コンピューターに用いる目的で1959年に誕生した汎用系プログラミング言語です。正式名称は『Common Business Oriented Language』であり、日本語訳をすると「共通事務処理用言語」という意味があります。COBOLが日本に上陸したのは1963年頃であり、金融系・製造業系などを中心に普及が進み、いつしか事務処理といえばCOBOLと言われるまでになりました。事務処理用言語としての特徴以外にも大量なデータ処理に向いており、高生産性・高保守性に優れております。代表的なCOBOLの種類としてIBM製(IBM-COBOL)富士通製(NetCOBOL)日立製(日立COBOL)などが挙げられます。
高水準言語を理解するために初心者でも分かる特徴、代表的な種類などの基礎知識を簡単に解説させていただきました。高水準言語を一言で表すと『プログラミング言語の記述抽象度が高いもののことで記述者となる人間が理解しやすいように作成された言語』です。特徴として「分かりやすい」「汎用性が高い」などが挙げられます。高水準言語についてこの記事に記載されている最低限の内容については理解をしておくようにしましょう。