今回はフリーランスが持っておくべき印鑑の種類と作成時のポイントについて解説させて頂きます。フリーランスとして活動していると、事業に関わる様々な場面において、目を通し、承認したことを証明する目的で押印する機会が多く発生します。各場面において適した印鑑を使用することで、対外的にもプラスの評価を受けることができます。正しい知識を身につけて、必要な印鑑を用意しましょう。
フリーランスが印鑑を持つ意味について解説させて頂きます。
実印、銀行印、角印を作ることが義務付けられている法人と異なり、フリーランスの場合、法律的に必要な印鑑が定められていないのが実情です。しかしフリーランスとして独立すると、事業に関わる様々な書類に自分の印鑑で捺印する必要があります。
取引先の目につく、契約書や請求書などの書類に使用する印鑑については、特に相手からの印象を気にする必要があります。日本社会ではまだまだ重要性の高い印鑑に、ちゃんとしたものを用意しておくことでビジネスをスムーズに進めることができます。
フリーランスが持つべき印鑑の種類について解説させて頂きます。
事業に関わる様々なシーンにおいて、印鑑の押印が必要となるフリーランス。目的と用途に応じて印鑑を使い分けることで、盗難・紛失のリスクを回避できたり、取引先からの信頼獲得に繋がります。
認印は個人名で作成する印鑑です。フリーランスで事業を行う方以外にも、多くの人が所有している印鑑で、銀行印と兼用している方も多いです。しかしあくまで銀行印は資産を管理するための印鑑です。できる限り銀行印とは分けて、認印は気軽に持ち歩いて使えるものとして用意することをオススメします。
事業用の銀行口座を開設する際に届け出を行う印鑑です。金銭を管理するために使用する印鑑になるため、盗難や紛失が発生しないように、しっかりと管理をすることが必要です。また個人用の銀行口座を開設した際に使用している銀行印もあると思いますが、事業用は事業用として用意することをオススメします。
会社の認印と呼ばれることもある、印面が四角い印鑑です。
領収書や請求書など、日常的な業務で押印が必要となった際に使用されることが多いです。木材、水牛の角、チタンなどから素材を選択して、一から作成することが一般的です。使用する頻度が比較的多い印鑑になるため、素材やサイズ感など、自分が気に入って使いやすいものを作成するのが良いでしょう。
実印として使用されることが多い、印面が丸い印鑑です。
法人の場合、会社実印のことを「丸印」や「代表者印」などと呼び、他社との契約、社員との契約などの大切な場面で使用されることが多い重要な印鑑になります。また、丸印は印面が二重になっており、円の中心に代表者名、円の外側に会社名(屋号名)を入れることが一般的で、屋号が存在しないフリーランスの場合、個人名のみで作成することも可能です。
フリーランスが印鑑を使用するシーンについて解説させて頂きます。
フリーランスとして開業する際や、年末の確定申告の際など、節目となる大切な瞬間にも印鑑は必要となります。また、請求書や契約書の発行という日常の業務においても印鑑を使用するシーンは多くあります。各シーンでオススメさせて頂く印鑑の種類について、フリーランスの場合は、絶対にそれでなくてはいけないというルールはありません。しかし、しっかりと使い分けを行うことで、対外的な信用度アップに繋がるメリットがあります。
フリーランスとして独立する際に、一番最初に提出する書類がこの開業届になります。こちらの書類に押印するのは認印で問題ないです。開業後に徐々に上記に紹介させて頂いた印鑑を揃えていくのが良いでしょう。また開業届と一緒に提出する「青色申告承認申請書」についても認印での押印で問題ありません。
確定申告の際に提出する申告書には、複数箇所に印鑑を押印する場所があります。確定申告書類への押印が認められる印鑑は「その書類に本人が確認して作成した」という意味をもたせることができる印鑑に限られます。その観点で見たときに、シャチハタは印面がゴムでできており、経年によって変化してしまう可能性があることや、大量生産によって作成されているため、同様の印面が多数存在することから確定申告書類への押印が認められません。銀行印でも代用は可能ですが、最も適しているのは印鑑登録をしている丸印と言えるでしょう。
サービスや商品の代金を請求するための請求書にも押印する箇所があります。ただし請求書への押印は絶対に必要な訳ではなく、印鑑なしの請求書でも問題なく請求を行うことができます。極論、双方の合意の上、書面での発行なしで口頭での請求も法律上問題ないとされています。とは言え、ビジネス上で取り交わされる請求書には押印されていることが一般的です。
これは押印を行うことで、請求書を発行したことを証明することになり、印鑑なしの請求書よりも信頼度が高い書類となります印鑑があることで、偽造などのトラブルを回避できる可能性が高くなるため、慣習として、請求書には押印をすることが常識となっているのです。
取引先が法人の場合、印鑑がない請求書を受理してもらえないケースもあるため、フリーランスとして請求書を発行する際にも、基本的には押印することをルール化しましょう。請求書の発行に使用する印鑑は角印で問題ありません。
取引先との契約を締結する際に発行する契約書には複数箇所に押印する必要があります。代表者名の隣に押印するほか、こちらで保管する用の書面と、相手方で保管する用の書面を重ねて押印する「割印」や複数ページに渡る契約書の場合に、見開きの部分に押印する「契印」など契約書には多くの押印が発生します。割印の目的は、発行された2部の契約書の生合成が取れるように、どちらか一方が改ざんされることを防ぐための押印になります。
また契印の目的は特定のページを差し替えられたり、抜き取られたりすることを防ぐために押印されます。契約書は取引を行う中でもかなり重要度の高い書類になるため、丸印を使用することをオススメします。取引先の目にも入る部分になるため、ちゃんと丸印で押印されていることで信頼度の向上に繋がります。
印鑑作成時に意識するポイントについて解説させて頂きます。
一度作成したら長期間使用することとなる各種印鑑について、作成前に意識すべきポイントは品質とサイズ感になります。長く使うからこそ、愛着をもって大切に使える印鑑を作りたいものですね。
安さではなく、丈夫さを重視して選ぶことが大切です。長期間かつ頻繁に使用することで、欠けてしまったり、削れてしまうなど、印鑑として機能しなくなってしまうと、買い替えする必要があります。途中で陰影が変化してしまうことは、色々と不都合が生じるため、できる限り避けたいものです。そうならないためにも、多少の出費は惜しまずにしっかりとした印鑑を最初に用意することが大切です。また、素材感もいくつかの選択肢から選ぶことができるはずなので、自分が愛着をもてる素材を選ぶようにしましょう。
頻繁に使用する印鑑ほど、自分の手にフィットするものを作ることが大切です。使いやすいサイズ感で作成することで、押印の作業の負担を軽減することができます。
業務効率化に効果的と注目されている電子印鑑について解説させて頂きます。
従来の請求書や納品書の発行には、一度紙で印刷し、そこに押印を行い、データで送る場合には更にスキャンを行なってパソコンに取り込むという、何段階もの作業が発生していました。この一連の作業を効率化できるのが電子印鑑になります。電子印鑑を作成すれば、押印の作業もパソコン上で行うことができ業務効率が向上する他にも、様々なメリットがあるのです。
電子印鑑を使用する最大のメリットはやはり業務の効率化と言えます。紙ベースで請求書に押印を行う場合、請求書作成→印刷→捺印→スキャン→データ送付という作業が発生するところ、請求書発行→電子印鑑を配置→データ送付という形に短縮することができます。取引先や請け負う案件が多く、毎月多くの請求書を発行する方にとっては、この作業の短縮はかなり大きな業務削減になるでしょう。
その他、印鑑作成や朱肉購入のコストの削減や印鑑紛失のリスク回避などのメリットもあります。
上記の通り、様々なメリットがある電子印鑑ですが、デメリットも存在します。電子印鑑のデメリットは印鑑としての効力が弱いということです。
電子印鑑は手軽にオンラインのサービスやフリーソフトで作成できる反面、公的な書類への押印を行う際には効力を発揮しません。理由としては、本人が押印したものかわからない、押印した日時がわからないなどが挙げられます。
これらの課題が解決されない限りは、電子印鑑での重要書類への押印は認められないでしょう。しかし実はこの課題を解決したサービスも存在しています。
シャチハタ株式会社が提供している電子印鑑サービスでは、個人認証や悪用防止への対策が行われているため、電子印鑑にある程度の効力を持たせることができます。作成した電子印鑑一つ一つにシリアル番号が付与されるため、誰のハンコかの判別もしっかりでき、電子印鑑のデメリットを限りなく無くしたサービスと言えます。
フリーランスが持っておくべき印鑑の種類と作成時のポイントについて解説させて頂きました。印鑑についてあまり意識をせずに事業を行なっているフリーランスの方も多いと思いますが、改めて各シーンの押印の目的を考えると、使用する印鑑を分ける必要があることに気付かされます。開業のタイミングで全てを揃える必要はないですが、本格的に事業が走り出す前に、事業用の印鑑は一通り揃えておくことをオススメします。