ブラックハッカーとはコンピュータやネットワークなどに関する高度な知識や技術を悪質な目的のために活用する人のことをいいます。その手法や目的は様々で、企業や公的機関のシステムに侵入し機密情報を盗んだり、情報を改ざんしたり、IT技術の進歩に応じて悪質に多様化しています。この記事ではブラックハッカーの目的や具体的なハッキング事例などを詳しく解説していきます。
ブラックハッカーは持ち合わせているITスキルをサイバー攻撃に利用し、外部のコンピュータやネットワークに不正アクセスします。IT技術の進化に応じて、ハッキング技術もより悪質化しており、犯罪を犯すブラックハッカーは非常に高度なIT技術を持ち、システムやウェブサイトの構造、プログラミングについても熟知している非常にスキルが高い人であることが多いです。日本における1年間のサイバー攻撃での被害総額は約999億8000万円、世界的にみると約11兆円とブラックハッカーからの被害規模は年々増加傾向にあります。ブラックハッカーも多様化しておりハッキングを専門としているハッキング集団、産業スパイ、犯罪者、悪意を持った組織の職員や退職者など目的もそれぞれです。
ブラックハッカーの主な目的について解説していきます。
ブラックハッカーの目的として一番多いのが金銭目的でしょう。個人情報を盗み、業者に売ることで利益を得ています。犯行については個人を狙いクレジットカードの不正利用のような事例もありますが、大量の個人情報を管理している企業に対してサイバー攻撃を行うことの方が多いです。それだけ現代において個人の情報というのは価値のある情報であり、企業へ攻撃し大量の情報を獲得することで高額な金銭を得ることが出来てしまいます。
企業や政治機関、国家などの組織から、重大な経営戦略や政治家の政治生命に関わる情報、国家の機密情報などをハッキングすることで組織活動に生かしたり、そういった重要な機密情報を売買することで利益を得る目的でサイバー攻撃を行うケースも少なくありません。個人の情報セキュリティよりも機密情報を多く抱える組織であればあるほどセキュリティ対策は強固なものであるため、高度なITスキルを要します。したがって、ハッキングを行うというった手法だけでなく、リアルな情報から特定の情報を得るソーシャルエンジニアリングという手法が用いられたり、取引先のフリをして連絡をとったりするなど、詐欺の手法は様々です。
愉快犯とは、犯行をすることにより社会を恐慌に貶めたり、人の恐怖心を煽り、人々や社会が慌てふためいたり、変化する様をみることを一種の喜びとして実行する犯罪者のことを指します。ブラックハッカーの中でもそういった自分の感情を満たすために犯罪に手を染める人も一定います。またセキュリティ対策の重要性が近年唱えられる様になり、サイバー攻撃に対する対策手法も多様化し高度なITスキルを持ち合わせていないとその対策を打破することは出来ません。そういった強固なセキュリティに対して挑戦し、突破することを目的としてハッキングを行うようなハッカーもいます。
ブラックハッカーの事例について解説していきます。
主なハッキングの事例としてWebサイトの改ざんがあります。Webサーバーに不正にアクセスをし、Webサイトの内容を勝手に書き換えたり、リンクの遷移先にウィルスの組み込まれたサイトを組み込むといった内容です。以前は個人的な主張を拡散したり、全く関係のない画像を貼り付けるなど、個人や組織の思想や意見を広げるために悪用されるケースもありました。最近ではウィルス感染を目的とした改ざんが増えています。
情報漏洩についてもハッキングの被害として多くある事例です。システムに不正にアクセスし、データベースに保存されている個人情報を盗み悪用します。組織のデータベースには何万人にも及ぶ顧客などの情報が管理されており、情報が流出してしまうと企業や組織としての信用を失うだけでなく、多額の賠償金の支払いを求められたりと経営にも大きな影響を及ぼす事態になってしまうケースもあります。
Webサイトやアプリケーションにおけるサーバーを停止させる攻撃です。手法は大きく2つあり、ログインの際のIDやパスワードを不正に取得することでサーバー内部に侵入する方法と、大量のアクセスリクエストを送ることでサーバーそのものをダウンさせる方法です。多くの事例が後者のサーバーダウンを目的とした攻撃手法で行われており、DDoS攻撃といわれています。サイバー攻撃の代表的な手口です。サーバーが停止することで、ユーザビリティの低下に繋がったり、システムが使えなくなることにより業務に支障を来たしたりと大きな損害に繋がります。
ホワイトハッカーとブラックハッカー、どちらもITスキルにおいて高度な技術を有しています。ホワイトハッカーは「エンジニア」として悪意を持ったサイバー攻撃から情報を守ることが役目です。一方ブラックハッカーは持ち合わせているスキルをサイバー攻撃に利用し、外部のコンピュータやネットワークにアクセスします。両者の大きく違う点は自身の持っているITスキルを善意で利用するか、悪意で利用するのかという点にあります。元々ホワイトハッカーとして活躍していたエンジニアが誘惑に負けてブラックハッカーに転身してしまうという事例も少なからずあります。
クラッカーは、ブラックハッカーとほぼ同義の言葉です。元々ハッカーという言葉の定義自体が「精通者(善意を持っているホワイトハッカー)と犯罪者(ブラックハッカー)」とで区別されていませんでした。しかしハッカーと聞くとその名称自体が犯罪者のイメージが強くなり、混同されることを良しとしない人たちが区別をするために悪事にハッキングを利用する人たちのこと「クラッカー」と呼称するようになりました。
これまでブラックハッカーの具体的な目的から犯罪事例などを解説してきました。IT技術の進歩に応じて複雑に多様化しているサイバー攻撃。これまでみてきたように彼らの目的は様々です。インシデントの報告件数も年々増加傾向にあり、セキュリティに対する意識は年々高まってきています。対策をするためには過去の事例や目的、手法を知り、適切な策を実行すると共に、ユーザーそれぞれがITリテラシーを高めることが大事です。ブラックハッカーについてこの記事に記載されている最低限の内容については理解をしておくようにしましょう。