働き方改革の導入から注目を集めだしたリモートワークという働き方。新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、会社から離れた場所で働くリモートワークが多くの企業で導入されました。リモートワークは感染拡大防止の観点だけではなく、導入することによって多くのメリットがあります。この記事ではリモートワークを行うにあたっての必要な能力やメリット・デメリット、必要なツールについて、また多様化する働き方の中でリモートワークと関連する様々な働き方について詳しく解説していきます。
リモートワークとは「Remote(遠隔)」と「Work(働く)」の2つの単語が組み合わさって出来た造語です。この単語の意味通り、「オフィスとは離れた場所で業務をおこなう」勤務形態のことをいいます。2016年頃から政府が「働き方改革」を掲げ、労働人口減少問題を解決するために様々な制度や多様な働き方を取り入れる企業が増えました。女性の雇用機会の促進や人口減少は日本にとって大きな課題です。それでもリモートワークという働き方を導入している企業が多くあったわけではありません。
新型コロナ感染拡大により、それまでは導入を検討していなかった多くの企業で導入が進みました。感染拡大のリスクから国民を守るために政府が啓蒙したことが導入の背景にはありますが、様々な企業でスムーズに導入が進んだ要因はインターネットやクラウド、リモートワークに必要なITツールなど急速なテクノロジーの発展が大きく影響しています。
リモートワークのメリットを見ていきましょう。
リモートワークを導入することにより、社員の家事育児、親の介護との両立やパートナーの転勤による離職なども防止することが出来る可能性が高まります。勤務場所に制限がある人も業務によっては採用を行うことが出来ます。また就業規則にもよりますが社員個人の快適な環境で業務を行うことが出来るためモチベーション向上や健康促進にも繋がります。導入する企業側のメリットとしては、「優秀な人材の雇用」に繋がる可能性が高いということです。
オフィスに出社する必要がなくなるため、通勤にかかる時間とコストを削減することが出来ます。特に都心部の場合の満員電車や同乗者とのトラブル、遅延などによるストレスは大きく、通勤時間は長ければ長い程人の幸福度にも影響すると言われているくらい、社員の精神面にも関わります。また出社する必要がなくなると必然的に同僚や取引先との接待などの機会も少なくなります。デメリットに繋がる一つでもありますが、オンオフの切り替えがしやすくなり、プライベートの時
企業側のメリットとしてリモートワークを導入することにより、経費が削減できるという点があげられます。リモートワークを全社的に導入したことによりオフィス賃貸を解約したり、レンタルオフィスへの移転を検討する企業も出てきました。また社員の交通費や光熱費、通信費などといった諸経費についても負担を軽減することが可能です。またリモートワークを導入することにより、育児、介護などを理由に離職せざるを得ない社員の雇用を継続することが出来れば採用費や新たに人を雇うことによってかかる人件費も削減することが出来ます。
次にリモートワークのデメリットを見ていきましょう。
リモートワークを導入する企業にとって一番のリスクは情報漏えいの可能性が高まることでしょう。情報は企業にとって重要な価値であり、もし機密情報や顧客情報が漏れてしまったら大きな損失になりかねません。しかしリモートワークの場合は自宅だけでなくコワーキングスペースやカフェなどのパブリックスペースで作業をする場合やパソコンなどの機器を社員が持ち歩くことになるため紛失や盗難など不慮の事態が発生してしまう可能性も高まります。リモートワークを導入する際は、社員に情報セキュリティの教育をし、セキュリティレベルの高い環境を整備しておく必要があります。
リモートワークの場合、社員同士が直接顔を合わせる機会が減少します。同じ環境で共に仕事を行うことで発生していたコミュニケーションが無くなり、社員同士お互いを知る機会も意図的に取らないといけなくなりました。また新入社員が配属される場合、フルリモートでの勤務だと分からないことをすぐに聞ける環境になかったり、OJTで都度先輩から学べていたことも教育する場や時間を意識的に設けないと成長に差が発生してしまったり、社員の離職に繋がりかねません。社員同士がコミュニケーションを取れる仕組みづくりを整えることが重要です。
リモートワークが導入されることにより従来のマネジメント方法や管理方法は見直す必要が出てくるでしょう。管理職であれば部下が自分の目には見えないところで勤務をしているのでコミュニケーションツールや管理方法の見直し、コミュニケーションのとり方についても変えていく必要があります。そして部下の働きが見えづらくなる分、人事評価についても不公平感が生まれない様に人事側が整備しておく必要も出てくるかもしれません。また離れた場所で仕事をしているため社員が離席中なのか在席しているかも常に把握することが出来ません。社員の生産性低下に繋がるリスクもあるため、ログイン状況を把握できる勤怠管理ツールを利用したり、勤務状況を把握しやすい仕組みづくりを整える必要もあります。
次にリモートワークを行う上で導入すると良いツールについて詳しく解説していきます。
Web会議ツールは、オンライン上で会議が出来るビデオツールです。無料のものから有料のものまで多くあり、アプリをダウンロードしたりブラウザを開くだけで気軽に利用できます。利用シーンは非常に多く、社内のミーティングや研修は勿論のこと、オンライン商談や採用面接などにも欠かせないツールです。よく利用されているサービスを挙げると、ZOOMやGoogleが提供しているGoogleMeetなどが代表的です。
社内のすべてのやり取りをオンライン上で行う必要のあるリモートワークではチャットツールの導入も非常に効率的です。チャットツールとは従来のメールでのやり取りに比べてより簡単にテキスト、スタンプ、画像などでやり取りが可能です。プライベートでもメールからLINEでのやり取りが主流になった様に、ビジネスシーンでも社内のチャットツールの利用は主流になりつつあります。代表的なツールは、SlackやChatWorkなどが有名です。
勤怠管理の方法は企業によって様々ですが、タイムカードの使用やICカードを利用して勤怠を管理している企業の場合は勤怠管理の方法を替える必要があります。オフィスから離れた場所であっても始業時間と退勤時間を正確に管理出来ることが重要です。最近ではリモートワークに対応する為に遠隔で働いている社員の作業状況が分かる機能(作業中のPC画面をスクリーンショットで撮れるもの)が付いていたり、給与システムと連動しているものも多くあります。代表的なシステムでいうと株式会社Donutsが提供しているジョブカンであったり、株式会社デジジャパンが提供しているタッチオンタイムなどが有名です。
次にリモートワークを行う上で必要になる能力について解説していきます。
リモートワークは基本的にオンラインでのやり取りになるため、テキストでのコミュニケーションやビデオツールを利用してのやり取りになり実際に顔を合わせて相手と話すということが無くなります。対面で話せば簡単に伝わることもコミュニケーションツールが変わるだけで齟齬が生まれてしまったり、伝えたいことが上手く相手に伝わらずトラブルになるということも発生してしまいます。したがって相手の考えや伝えたいことを汲み取る力であったり、自分の考えや伝えたいことを的確に齟齬なく簡潔に相手に伝える能力が必要になります。
周囲の目があるオフィスでの勤務とは違いリモートワークの場合は自分自身で仕事を管理する能力が必要になります。人の目が届かない分、つい仕事とは関係のないサイトをみてしまったり、仕事を先送りにしてしまったりということが発生しないように自分で仕事の計画と進捗を管理しタスクを完了させる必要があります。自由度がより高くなる働き方だからこそ生産性が低下してしまわないよう、自己管理を行わなければなりません。
上記でリモートワークに必要なツールを紹介した様に、オンラインでのやり取りになるため
リモートワークに欠かせないITツールの使用が必要になります遠隔でも円滑に業務が遂行出来るよう新しいツールについてもある程度使いこなせるように最低限のIT知識は必要になります。またリモートワーク中に通信や端末に不具合が起きてしまうということもあるでしょう。社内であれば専門知識のある人に簡単に聞くことが出来ますが遠隔となるとある程度自分で解決するための策を実行しなければいけません。専門的なスキルが必要というわけではありませんが最低限のITスキルは必須といえるでしょう。
新型コロナウイルスの感染拡大によって「リモートワーク」や「テレワーク」といった言葉が頻繁に使われる様になりました。どちらも大きく意味が異なるわけではありませんが、使われ始めた時期や発祥の背景に違いがあります。「テレワーク」とは「Tele(離れた場所)」と「Work(働く)」という単語が組み合わさって出来た造語です。テレワークという言葉の発祥はアメリカで1970年頃から使われ始めました。日本では1980年代にテレワークという働き方が広まり、国や自治体などは遠隔で仕事を行うことを「テレワーク」と統一して使っています。
一方で「リモートワーク」とは「Remote(遠隔)」と「Work(働く)」という単語が組み合わさって出来た造語です。こちらも意味は一緒ですが、比較的最近出来た言葉です。テレワークと比べると主に民間企業で使われていることが多く特にIT関係やフリーランスで働く人達が用いていることが多い傾向にあります。
リモートワークに関連する働き方を見ていきましょう。
ノマドとは英語で「nomad」、フランス語で「nomade」を語源としている言葉で「遊牧民」という意味があります。その言葉の語源通り、ノマドワーカーとは遊牧民のように定住地を持たずに様々な場所で自由に仕事をする人たちの総称です。PCやスマートフォン、タブレットなどのITツールを用いてWifi環境下で働きます。よくフリーランスと混同されがちですが、ノマドワーカーは働き方を指す言葉であり、フリーランスは企業との雇用契約形態の事を指し、似ている様で意味は異なっています。働く場所も時間も自由な分、全ての業務タスクを自分で管理しなくてはいけないため、自己管理が得意な人でないとノマドワーカーにはなれません。
ノマドワーカーのメリット・デメリットについて解説された記事はこちら>>
ワーケーションとは、リゾート地や地方のエリアなど普段の職場とは異なる環境で働きながら休暇取得等を行う仕組みのことをいいます。文字通りWork(働く)とVacation(休暇)という単語の造語のため、働きながら旅行やリゾート地でリフレッシュするという目的があります。観光庁はワーケーションを【休暇型(福利厚生型)】と【業務型(地域課題解決型、合宿型)】に分類しています。休暇型は休暇の合間に勤務日を入れて、観光地などでテレワークを行い長期休暇取得促進を目的としたものです。
一方業務型とは地域関係者との交流を通じて、地域課題の解決先を共に考えることを業務の一貫としたり、合宿のような形で職場全体で観光地に赴き、普段とは違う環境での業務を行うことでコミュニケーションが活発になったり、創造的な発想が生まれることを目的としたもののことをいいます。ワーケーションといっても上記の様に取り入れる目的は企業ごとに違っており、様々なメリットがあるのです。
ワーケーションのメリット・デメリットについて解説された記事はこちら>>
リモートワークという働き方を理解するために初心者でも分かるメリット、デメリット、必要な能力などについて解説させていただきました。リモートワークを一言で表すと『オフィスとは離れた場所で業務をおこなう』です。メリットとして「人材確保・離職防止」「通勤時間の削減」「コスト削減」などが挙げられます。リモートワークについてこの記事に記載されている最低限の内容は理解をしておくようにしましょう。