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治療薬やワクチンの開発動向について対新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のまとめ

治療薬やワクチンの開発動向について対新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のまとめ

最終更新:2020/05/18 投稿:2020/04/21
治療薬やワクチンの開発動向について対新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のまとめ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中に蔓延し皆が不安を抱え生きている中、対抗手段の鍵となる治療薬・ワクチンの最新の動向はどうなっているのかまとめていきます。

COVID-19の治療薬候補一覧

・抗ウイルス薬レムデシビル(米ギリアド・サイエンシズ)

・抗インフルエンザウイルス薬ファビピラビル(富士フイルム富山化学の「アビガン」)

・喘息治療薬シクレソニド(帝人ファーマの「オルベスコ」)

・抗HIV薬ロピナビル/リトナビル配合剤(米アッヴィの「カレトラ」)

・抗IL-6受容体抗体トシリズマブ(中外製薬「アクテムラ」)


国内の承認

上記薬剤の投与が国内のアカデミアによる観察研究や臨床研究として行われているほか、一部薬剤では企業による臨床試験が始まっています。

国内承認 適応疾患
レムデシビル エボラ出血熱
アビガン
(ファビピラル)
インフルエンザ
オルベスコ
(シクレソニド)
気管支喘息
カレトラ
(ロピナビル/リトナビル)
HIV感染症
アクテムラ
(トシリズマブ)
関節リウマチなど



COVID−19への国内での使用や臨床スケジュール・結果について

COVID−19への国内
での使用
臨床研究の結果
や予定など
レムデシビル 観察研究で一部
医療機関が使用
2020年4月に重症対象
5月に中等症の結果報告
アビガン
(ファビピラル)
観察研究で一部
医療機関が使用
2020年3/31〜
臨床研究開始
オルベスコ
(シクレソニド)
観察研究 未定
カレトラ
(ロピナビル/リトナビル)
観察研究で一部
医療機関が使用
有用性示せず
アクテムラ
(トシリズマブ)
適応外使用で
各医療機関で使用
2020年4月から
臨床試験実施中


レムデシビル(米ギリアド)

エボラ出血熱の治療薬として開発されていた抗ウイルス薬のレデシビルですが、本鎖RNAウイルス(コロナウイルスを含む一)に対して抗ウイルス活性を示すことがわかっており、COVID-19の治療薬として最も有望視されている薬剤の1つです。

レムデシビルは現在、NIAID(アメリカ合衆国国立アレルギー・感染症研究所=NIA)
主導のもと医師主導臨床試験が行われています。
中国では医師主導治験が行われていましたが、登録症例不足のため中止となりました。一方日本では国立国際医療研究センターはNIAID主導の臨床試験に参加する形でレムデシビルの臨床試験を進めています。

5月にはNIAID主導試験のデータが得られる見込みだということです。
これとは別に、米ギリアドが日本を含む世界各国で臨床第3相試験を実施中で、この試験は【重症患者対象】【中等症患者対象】の2つで構成されています。
日本でも4月14日〜患者への投与が始まり、重症患者対象の試験結果は4月中に、中等症患者対象の試験の結果は5月に得られる予定です。

4月10日には、米医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)」で、人道的使用(コンパッショネート・ユース)プログラムでレムデシビルの投与を受けた患者53人のデータを発表。小規模で限定的なデータながら患者の68%が臨床的改善を示しており、臨床試験の結果が待たれます。

参考:ギリアド

ファビピラビル(富士フイルム富山化学の「アビガン」)

2014年に日本で承認された抗インフルエンザウイルス薬【ファビビラル】。
国が200万人分備蓄していますが、新型インフルエンザのみ使用可能なため、市場には出回っていません。
インフルエンザウイルスの遺伝子複製酵素であるRNAポリメラーゼを阻害することでインフルエンザウイルスの増殖を抑制する働きがあり、COVID-19の原因となる新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスと同じRNAウイルスであることから効果があるのではないかと期待されています。

しかし動物実験で催奇形性が確認されており、妊婦(妊娠可能性)には使うことができず、妊娠する可能性がある場合は性別を問わず避妊を行う必要があります。

日本においては、富士フイルム富山化学が3月31日にCOVID-19を対象に臨床第3相試験を開始したと発表しました。臨床試験登録サイトに掲載されている情報によると、対象は重篤でない肺炎を発症したCOVID-19患者約100人で、肺炎の標準治療にファビピラビルを追加した場合の効果を検証しています。

先行して医療機関主導の試験が行われた中国では、有効性が示されたとの結果が公表されています。富士フイルムは米国でもCOVID-19を対象としたアビガンの臨床第2相試験を開始。日本政府は希望する国にアビガンを無償提供する方針で、50カ国への提供を想定しているとしています。

富士フイルム富山化学はアビガンの増産に着手しており、7月には月間約10万人分(3月上旬との比較で約2.5倍)、9月には月間30万人分(同約7倍)を生産できるようになる見込みです。国内で唯一、アビガンの原料であるマロン酸ジメチルを生産しているデンカは、日本政府からの要請を受けて5月から生産を再開する予定。カネカもアビガンの原薬供給を7月からスタートさせます。

参考:富士フィルム

シクレソニド(帝人ファーマの「オルベスコ」)

日本では2007年に気管支喘息治療薬としてに承認された吸入ステロイド薬で、国立感染症研究所による実験では強ウイルス活性を持つことが示されています。患者に実際に投与したところ肺炎が改善した症例も報告されています。

現在、日本感染症学会が主導する観察研究が進んでおり、全国の医療機関から報告を集め有効性の評価を進めているところです。帝人ファーマは厚生労働省からの要請を受けて、この研究のためにシクレソニドの供給体制を確保。国立国際医療研究センターも臨床研究を計画しているということです。

参考:帝人ファーマ

ロピナビル/リトナビル配合剤(米アッヴィの「カレトラ」)

ピナビルはウイルスの増殖を抑えるプロテアーゼ阻害薬で、リトナビルはその血中濃度を保ち、効果を増強する役割を果たします。これらの配合剤であるカレトラは、日本では2000年にHIV感染症に対する治療薬として承認されています。In vitroや動物モデルを使った研究でMERSへの有効性が示されており、COVID-19に対してもバーチャルスクリーニングで有効である可能性が示唆されました。CrinicalTrials.govによると、中国を中心にCOVID-19患者を対象とした臨床試験が複数行われていますが、中国の研究グループは2020年3月18日付のNEJMに、カレトラを投与しない群と比べて臨床的な改善までの時間に差はなかったとの結果を発表しました。

参考:アッヴィ

抗IL-6受容体抗体/JAK阻害薬

サイトカインストーム(過剰な免疫反応)を抑制することで重篤な呼吸障害を改善する効果を期待して、新型コロナウイルスによる重症肺炎を対象に、免疫を抑える薬剤の開発も進められています。

スイス・ロシュは4月から、中外製薬が創製した抗IL-6受容体抗体トシリズマブ(製品名「アクテムラ」)のP3試験を米国、カナダ、欧州などで開始。中外製薬も近く、国内でP3試験を始める予定です。米リジェネロン・ファーマシューティカルズと仏サノフィも、共同開発した抗IL-6受容体抗体サリルマブ(同「ケブザラ」)のP2/3試験を欧米で実施中。日本でも近く試験が始まる見通しです。両剤はいずれも、日本で主に関節リウマチの治療薬として使われています。

スイス・ノバルティスは4月2日、サイトカインストームを伴うCOVID-19患者を対象に、JAK阻害薬ルキソリチニブ(同「ジャカビ」)のP3試験を準備していることを公表しました。日本では骨髄線維症と真性多血症の適応で承認されており、同社は「日本の規制を遵守しながら必要とする患者に届けられるよう検討していく」とコメント。JAK阻害薬では、トファシチニブ(米ファイザーの「ゼルヤンツ」)もイタリアで医師主導のP2試験が行われているほか、バリシチニブ(米イーライリリーの「オルミエント」)も近く臨床試験を始める予定です。

参考:中外製薬

COVID-19のワクチン開発一覧

・米国立アレルギー・感染症研究所と米バイオベンチャーのモデルナが共同開発したmRNAワクチン「mRNA-1273」

・米イノビオ・ファーマシューティカルズDNAワクチン「INO-4800」

・米ファイザーと独ビオンテックが共同開発mRNAワクチン「BNT162」

・田辺三菱製薬とメディカゴがワクチン共同開発中

・アンジェスが大阪大とDNAワクチンを共同で開発中


ワクチン開発一覧表

開発機関 開発ワクチンの種類 臨床試験の結果や予定
モルデナ・米国立アレルギー感染症研究所 mRNAワクチン 2020年3月〜臨床試験中
イノビオ・ファーマシューティカルズ DNAワクチン 2020年4月〜臨床試験中
米ファイザー・独ビオンテック mRNAワクチン 2020年4月末から臨床試験予定
田辺三菱製薬・メディカゴ 不明 2020年8月までに臨床試験予定
アンジェス・大阪大 DNAワクチン 2020年4月から半年以内に臨床試験開始


まとめ

新型コロナウイルス感染症【COVID-19】に効果が期待できる治療薬5つとワクチン
開発中5社の情報をまとめさせていただきました。治療薬に関しては現状臨床試験中のもので効果が見られているものも有り、臨床試験の結果なども順次出ていることから、順次有効な治療薬が発表されるものと考えられそうですが、早期の発表を期待します。

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