新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中に蔓延し皆が不安を抱え生きている中、対抗手段の鍵となる治療薬・ワクチンの最新の動向はどうなっているのかまとめていきます。
上記薬剤の投与が国内のアカデミアによる観察研究や臨床研究として行われているほか、一部薬剤では企業による臨床試験が始まっています。
国内承認 | 適応疾患 | |
レムデシビル | ✕ | エボラ出血熱 |
アビガン (ファビピラル) |
◯ | インフルエンザ |
オルベスコ (シクレソニド) |
◯ | 気管支喘息 |
カレトラ (ロピナビル/リトナビル) |
◯ | HIV感染症 |
アクテムラ (トシリズマブ) |
◯ | 関節リウマチなど |
COVID−19への国内での使用や臨床スケジュール・結果について
COVID−19への国内 での使用 |
臨床研究の結果 や予定など |
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レムデシビル | 観察研究で一部 医療機関が使用 |
2020年4月に重症対象 5月に中等症の結果報告 |
アビガン (ファビピラル) |
観察研究で一部 医療機関が使用 |
2020年3/31〜 臨床研究開始 |
オルベスコ (シクレソニド) |
観察研究 | 未定 |
カレトラ (ロピナビル/リトナビル) |
観察研究で一部 医療機関が使用 |
有用性示せず |
アクテムラ (トシリズマブ) |
適応外使用で 各医療機関で使用 |
2020年4月から 臨床試験実施中 |
エボラ出血熱の治療薬として開発されていた抗ウイルス薬のレデシビルですが、本鎖RNAウイルス(コロナウイルスを含む一)に対して抗ウイルス活性を示すことがわかっており、COVID-19の治療薬として最も有望視されている薬剤の1つです。
参考:ギリアド
2014年に日本で承認された抗インフルエンザウイルス薬【ファビビラル】。
国が200万人分備蓄していますが、新型インフルエンザのみ使用可能なため、市場には出回っていません。
インフルエンザウイルスの遺伝子複製酵素であるRNAポリメラーゼを阻害することでインフルエンザウイルスの増殖を抑制する働きがあり、COVID-19の原因となる新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスと同じRNAウイルスであることから効果があるのではないかと期待されています。
しかし動物実験で催奇形性が確認されており、妊婦(妊娠可能性)には使うことができず、妊娠する可能性がある場合は性別を問わず避妊を行う必要があります。
参考:富士フィルム
日本では2007年に気管支喘息治療薬としてに承認された吸入ステロイド薬で、国立感染症研究所による実験では強ウイルス活性を持つことが示されています。患者に実際に投与したところ肺炎が改善した症例も報告されています。
参考:帝人ファーマ
ピナビルはウイルスの増殖を抑えるプロテアーゼ阻害薬で、リトナビルはその血中濃度を保ち、効果を増強する役割を果たします。これらの配合剤であるカレトラは、日本では2000年にHIV感染症に対する治療薬として承認されています。In vitroや動物モデルを使った研究でMERSへの有効性が示されており、COVID-19に対してもバーチャルスクリーニングで有効である可能性が示唆されました。CrinicalTrials.govによると、中国を中心にCOVID-19患者を対象とした臨床試験が複数行われていますが、中国の研究グループは2020年3月18日付のNEJMに、カレトラを投与しない群と比べて臨床的な改善までの時間に差はなかったとの結果を発表しました。
参考:アッヴィ
サイトカインストーム(過剰な免疫反応)を抑制することで重篤な呼吸障害を改善する効果を期待して、新型コロナウイルスによる重症肺炎を対象に、免疫を抑える薬剤の開発も進められています。
スイス・ロシュは4月から、中外製薬が創製した抗IL-6受容体抗体トシリズマブ(製品名「アクテムラ」)のP3試験を米国、カナダ、欧州などで開始。中外製薬も近く、国内でP3試験を始める予定です。米リジェネロン・ファーマシューティカルズと仏サノフィも、共同開発した抗IL-6受容体抗体サリルマブ(同「ケブザラ」)のP2/3試験を欧米で実施中。日本でも近く試験が始まる見通しです。両剤はいずれも、日本で主に関節リウマチの治療薬として使われています。
スイス・ノバルティスは4月2日、サイトカインストームを伴うCOVID-19患者を対象に、JAK阻害薬ルキソリチニブ(同「ジャカビ」)のP3試験を準備していることを公表しました。日本では骨髄線維症と真性多血症の適応で承認されており、同社は「日本の規制を遵守しながら必要とする患者に届けられるよう検討していく」とコメント。JAK阻害薬では、トファシチニブ(米ファイザーの「ゼルヤンツ」)もイタリアで医師主導のP2試験が行われているほか、バリシチニブ(米イーライリリーの「オルミエント」)も近く臨床試験を始める予定です。
参考:中外製薬
開発機関 | 開発ワクチンの種類 | 臨床試験の結果や予定 |
モルデナ・米国立アレルギー感染症研究所 | mRNAワクチン | 2020年3月〜臨床試験中 |
イノビオ・ファーマシューティカルズ | DNAワクチン | 2020年4月〜臨床試験中 |
米ファイザー・独ビオンテック | mRNAワクチン | 2020年4月末から臨床試験予定 |
田辺三菱製薬・メディカゴ | 不明 | 2020年8月までに臨床試験予定 |
アンジェス・大阪大 | DNAワクチン | 2020年4月から半年以内に臨床試験開始 |
新型コロナウイルス感染症【COVID-19】に効果が期待できる治療薬5つとワクチン
開発中5社の情報をまとめさせていただきました。治療薬に関しては現状臨床試験中のもので効果が見られているものも有り、臨床試験の結果なども順次出ていることから、順次有効な治療薬が発表されるものと考えられそうですが、早期の発表を期待します。