オフショアとは開発業務の全部又は一部を海外の取引先や関連企業に委託・発注することです。システム開発におけるリソース不足が深刻な昨今無くてはならない手段の一つです。皆さんはこのオフショアという言葉の意味を正しくご存知でしょうか?この記事ではオフショアについて理解をするために意味、メリット・デメリット、ニアショアとの違いなどを簡単に解説していきます。
オフショアとはソフトウェアやアプリケーションの開発業務の全部又は一部を海外の取引先や関連企業に委託・発注することです。オフショアという言葉は英語の『Offshore』からきており、和訳すると”沖合”といった意味があります。
沖合という言葉が海において沖の方という意味があることから日本の外である海外拠点を意味する言葉として使われております。オフショア開発が注目を集めてる理由としてとしてコスト削減が見込めることや人材供給数が多いことなどが挙げられます。またオフショア開発において人気の国としてインド、中国、ベトナムなどが挙げられます。
オフショアのメリットについて見ていきましょう。
オフショア開発の最大のメリットとしてコスト削減が挙げられます。システム開発においてコストの大半を占めるのはエンジニアの稼働へ対して発生する人件費です。日本国内では技術者の価値が高まる一方で年々原価が高騰しております。一方で海外へ目を向けると、インドやベトナムなど発展途上の国々に仕事を欲して技術に貪欲なエンジニアが溢れるほどおります。
人件費においてどれだけ抑えられる可能性があるかといいますと、例えばベトナムでは一人当たりの人件費が下は300ドルからと言われております。日本円にして30,000円程度となるためこの場合大幅にコスト削減を見込めるのです。もちろんキャリア年数や技術力によって給与はピンきりですが日本国内人材よりも大幅に低価格で仕入れられるに違い有りません。
日本国内は深刻なエンジニア不足です。一方でインドやベトナム、中国などでは仕事を求めるエンジニアがやまほどおります。このことから海外に拠点を置くことで日本国内よりも採用の機会を増やすことが可能となりエンジニアの供給を満足に行えることでしょう。また特に発展途上国であるベトナムなどはオフショアにおいて注目度が非常に高いです。
その理由としてハングリーな環境で育ち、仕事を求めるエンジニアが多いことから成長意欲が高く、生産性を向上させるために全力を尽くす優秀なエンジニアに溢れているからです。
オフショアのデメリットを見ていきましょう。
オフショアにおける最大のデメリットがコミュニケーションの壁です。やはり言語の違いや文化の違いなどコミュニケーション活動において壁を感じてしまう機会は双方に多いのが事実です。また物理的な距離も離れていることから対面でのコミュニケーションが手軽に行えないということもあります。
ネット会議や翻訳ツールなどコミュニケーションに必要な様々なサービスが進化を続けておりますが未だにコミュニケーションの壁は大きく立ちはだかっております。このコミュニケーションの壁を解決するためにブリッジSEと呼ばれる日本企業と海外企業の橋渡し役となるポジションが存在します。こういったポジションを上手く活用することで円滑にオフショア開発を進めることが可能となります。
物理的な距離や時差など万全な管理体制を実現することが難しいオフショア開発では品質管理や進捗管理が難しいと課題として度々挙げられます。こういった問題を回避すべく昨今ではオフショア開発側のチームに日本拠点のSEクラスのメンバーを常駐させることや一部チームで常駐するなど管理体制の強化を図る傾向にあります。
このような管理体制を組むことでオフショア開発側である海外拠点のメンバーもプロジェクトの目的や開発のルールなどに関する理解力が高まり品質管理や進捗管理に良い影響を与えることが出来ます。
ニアショアとはソフトウェアやアプリケーションの開発業務の全部又は一部をオフショアと比べても近い拠点に委託・発注することです。オフショアが海外を指すのに対してニアショアは日本国内の地方都市が対象です。東京などの都心部と比べて物価の安い地方都市へ外注することでコスト削減の期待が出来ることと同時にオフショアでネックとされていたコミュニケーションの壁も解消できることからハイブリッドな手段として人気を集めております。
ニアショア | オフショア | |
コスト削減 | ◯ | ◎ |
エンジニア供給数 | ◯ | ◎ |
コミュニケーションの壁 | ◎ | × |
品質・進捗管理 | ◎ | △ |
オフショア国別海外事情を見ていきましょう。
中国は世界一の人口を誇り日本との時差も一時間であることからオフショア開発先として一位のシェアを誇ります。優秀なエンジニアが多いことでも有名であり、歴史を辿っても古くから日本との親交が深いことから密な関係を続けております。中国のオフショア開発先としての特徴は人材供給数が圧倒的であることや地理的に距離が近いということなどが挙げられます。
▼人口
13.86億人(2017年時点)
▼常用語
中国語
▼人件費相場
70,000円/一人月
▼中国の特徴
・人材供給数が圧倒的
・地理的に距離が近い
インドは中国に迫る人口の多さを誇りIT分野においても凄まじいスピードでの技術力の発展を行っていることから非常に注目度の高いオフショア開発先となっております。インドのオフショア開発先としての特徴は技術力が世界トップクラスであることや最先端の技術を保持するエンジニアが多いことなどが挙げられます。
▼人口
13.39億人(2017年時点)
▼常用語
ヒンディー語、英語
▼人件費相場
50,000円/一人月
▼インドの特徴
・技術力が世界トップクラス
・最先端の技術を保持するエンジニアが多い
ベトナムは近年最も人気を集めるオフショア開発先となっております。中国やインドと比べるとIT分野の発展はまだまだ歴史が浅いですが、エンジニアの教育体制に非常に力を入れており近年その成果が花開きつつ有り今後も高い注目を集めることが予測されます。ベトナムのオフショア開発先としての特徴は人件費が非常に安いことや親日文化で日本語能力が高いエンジニアも多いことなどが挙げられます。
▼人口
9,954万人(2017年時点)
▼常用語
ベトナム語
▼人件費相場
46,000円/一人月
▼ベトナムの特徴
・人件費が安い
・親日文化で日本語能力が高い
ミャンマーは東南アジア諸国の中でも『ラストフロンティア』として注目を集めるオフショア開発先として最後の開拓先と言われております。その分人件費相場は他国と比べても圧倒的に安いです。まだまだオフショア開発における実績は多くありませんが、小中規模の案件を中心に着実に実績を積み重ねております。ミャンマーのオフショア開発先としての特徴は常用語であるミャンマー語の文法が日本語に親しい習得をしやすいということやIT分野においてまだまだ発展途上であるということが挙げられます。
▼人口
5,337万人(2017年時点)
▼常用語
ミャンマー語
▼人件費相場
30,000円/一人月
▼ミャンマーの特徴
・人件費が非常に安い
・常用語の文法が日本語に親しい
・IT分野においてまだまだ発展途上
インドネシアは2018年にICT教育の積極的な導入を国として掲げたこともありエンジニアの供給に期待が出来ることでも注目を集めるオフショア開発先です。インターネットの普及率こそまだまだであるものの、モバイル普及率はほぼ100%となっております。インドネシアのオフショア開発先としての特徴は今後もエンジニアの共有に期待が出来ることやモバイル開発に強みをもっていることなどが挙げられます。
▼人口
2.64億人(2017年時点)
▼常用語
インドネシア語
▼人件費相場
54,000円/一人月
▼インドネシアの特徴
・エンジニアの供給に期待出来る
・モバイルの開発に強み
オフショアを理解するために意味、メリット・デメリット、ニアショアとの違いなどを簡単に解説させて頂きました。オフショアを一言で表すと『は開発業務の全部又は一部を海外の取引先や関連企業に委託・発注すること』です。オフショアを検討することで開発コストの削減や開発リソースの確保などのメリットが見込めます。オフショアについてこの記事で記載されている最低限の内容は理解しておくようにしましょう。