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フリーランスが加入できる健康保険の選択肢とメリット・デメリットについて

フリーランスが加入できる健康保険の選択肢とメリット・デメリットについて

最終更新:2021/10/13 投稿:2019/10/11
フリーランスが加入できる健康保険の選択肢とメリット・デメリットについて

今回はフリーランスが知っておくべき健康保険の基礎知識や、選択肢として検討できる種類、それぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介した上で、フリーランスの方の大多数が加入することになる国民健康保険の加入方法、加入後に毎月の保険料をお得にする方法をお伝えしていこうと思います。職種によっては国民健康保険以外にもお得な健康保険の選択肢があるので、全体を理解した上で、自分の状況にぴったりの健康保険に加入することをおすすめします。

フリーランスの健康保険とは?

国民皆保険制度がしかれている日本では、国民全員が健康保険に加入する必要があり、加入の証でもある「保険証」は日常的に身分証明にも使えるなど、日本で暮らす人にとっては馴染みの深いものです。誰しもが加入するルールとなっている健康保険ですが、実は人によって加入している種類が違うことが一般的です。
その種類を大きく分別すると、「国民健康保険」と「社会保険」の2つに分けることができます。そして更に「社会保険」については加入する団体によっていくつもの種類に分かれているのです。

フリーランスの社会保険に関する知っておくべきことについて解説した記事はこちら>>

フリーランス向け案件はこちら>>


健康保険の仕組みとは

健康保険(公的医療保険)とは、加入者やその家族が病気、怪我、出産などで医療行為を受けることが必要となった時に、医療給付や手当金を支給してもらえる制度です。健康保険には様々な種類がありますが、基本的なお金の流れや関わる人は同じで、加入者全体で助け合う相互扶助の仕組みになっています。
具体的な仕組みを知るには、健康保険に関わる人を知ると理解がしやすいと思います。健康保険に以下の人たちが関わっています。

健康保険に関わる人・組織

保険者
保険者は、加入する保険を運営している自治体や健康保険組合、健康保険事業などのことです。支払基金から医療費請求を受けて、被保険者から集めた保険料を払い込んでいます。

医療機関
医療行為を行う病院や歯科などです。被保険者や被扶養者に対して診察や治療を行なった医療機関は、診察・治療代として医療費の一部を本人から受け取り、残りの医療費は診療報酬明細書として支払い基金に請求します。

支払基金
医療機関から請求される診療報酬明細書を受け取り、審査を行なった上で医療機関に対して支払を行います。また同時に保険者に対して診療報酬(医療費)の請求を行います。

健康保険の仕組みを回しているのはこのような役割の方達&組織となります。

フリーランスが選択できる健康保険の種類

フリーランスとして独立すると、どの健康保険に加入するのか、自分で選択する必要があります。ここでは各健康保険の違いや、メリットとデメリットについて紹介させて頂きます。

国民健康保険

国民健康保険には厳密に言うと2種類あり、市区町村が運営しているものと、国民健康保険組合のものがあります。一般的に「国民保険」と言われているものは市区町村が運営するものになっているので、そちらを例に解説してきます。国民健康保険の保険料は前年度の所得によって決定されるため、前年の収入が多い場合高額になります。またもう一つのポイントが国民健康保険には「扶養」という概念がなく、家族の分も一人分ずつ支払う必要があります。そのため扶養家族が存在する人の場合、この後紹介させて頂く「任意継続」を選んだ方がお得になるケースが多いのです。

国民健康保険のポイント
・前年度の所得によって決定する
・扶養の概念がない
・出産手当金や傷病手当金がない

社会保険の任意継続

フリーランスとして独立する前の会社で契約していた健康保険を継続することができる制度があります。ただしこの「任意継続」を選択するにはいくつかの条件があります。

任意継続する条件
・退職日までに2ヶ月以上継続して社会保険に加入していた人
・退職日の翌日(資格喪失日)から20日以内に手続きを行う

上記の条件を満たせば会社員時代の健康保険を「任意継続」することが可能となります。ちなみに任意継続できるのは2年間で、保険料は全額自己負担となります。会社員時代には会社が保険料の半分を負担してくれていましたがフリーランスは全て自分で払う必要があるので注意が必要です。
また国民健康保険に扶養という概念がない一方で健康保険を任意継続する場合は扶養のシステムがあるため、扶養家族の分を追加で支払う必要がありません。これは家族がいる人にとっては大きな問題になるため、知らないことで損してしまう可能性が高いです。
しかも退職日翌日(資格喪失日)から20日以内に手続きを行う必要があるため、独立時の忙しさで手続きに行くのを忘れてしまい、気づいたら期限を過ぎていた、ということもよくある話ですので、事前に把握しておくようにしましょう。

社会保険のポイント
・前年度の所得によって決定する
・扶養の概念がある
・出産手当金/傷病手当金がある
・会社が半額を負担してくれる(在職中の場合)

文芸美術国民健康保険

文芸美術国民健康保険組合は文芸や美術、著作活動を主な仕事としており、組合加盟団体に加入していることで、本人と扶養家族が入れる健康保険制度です。組合には「東京コピーライターズクラブ」や「日本イラストレーション協会」、「日本写真家協会」など現在60種類を超える団体が加盟しているため、加入者の事業形態に即した団体に加入することが出来ます。各団体には加入できる職業に規定があり、「日本イラストレーション協会」の場合、イラストレーター、WEBデザイナー、漫画家などの職種の人が加入できることになっています。

文芸美術国民健康保険にはもう一つ大きな特徴があり、それは収入に関わらず、保険料が一律であるということです。組合員一人あたりの保険料は月額19,600円(医療分16,000円、後期高齢者支援分3,600円)となっており、家族は月額10,300円(医療分6,700円、後期高齢者支援分3,600円)で同様の恩恵が受けられることになっています。
保険料が一定であることから、収入が高ければ高いほど国民保険や社会保険と比較し、保険料がお得になります。目安としては年間の所得が300万円を超えるようであれば、文芸美術国民健康保険を検討することをおすすめします。

ただし、組合によっては月額の保険料以外に、入会費や年会費が必要になる場合があるため、加入前にしっかりと確認するようにしましょう。

社会保険のポイント
・所得に関係なく保険料が一定
・扶養の概念はない
・家族は割安で加入できる
・自分の職種に応じた団体に加入できる

国民健康保険への切り替え方

会社員からフリーランスとして独立する際に、退職する会社の社会保険から国民健康保険に切り替えるという選択をする場合、どのような流れで手続きを行えば良いのかについて解説します。
国民健康保険の切り替え方は以下の手順で行います。

1.退職した会社から「社会保険喪失証明書」を発行してもらう
2.退職日から14日以内に、現在住んでいる地域の役所の「国民健康保険担当窓口」に以下の必要書類を持っていく

必要書類
・社会保険喪失証明書(前の職場で発行してもらう)
・本人確認書類
・通帳またはキャッシュカード
・印鑑

国民健康保険の申請期間は退職日から14日の間に行わなくてはならないため、退職会社からは社会保険喪失証明書をすぐに出してもらえるように、事前にお願いしておくと良いでしょう。

国民健康保険をお得に加入する制度

国民健康保険に加入しながら、月々の保険料をお得にするテクニックを紹介します。会社員時代は半額を会社が負担してくれていた健康保険。いざ自分で全て払うとなると、意外に大きな出費になるので、できる限り毎月の保険料をおさえて行きましょう。

経費をしっかり計上する

基本的なことですが、経費をしっかりと計上して総所得をおさえることで、月々の保険料を下げることが出来ます。フリーランスとして活動していると、本業の忙しさに追われ、経費計上をおざなりにしてしまうケースがあります。自分の職種や状況において、どのような費用が経費になるのか、改めて正しく認識し、可能な限り経費として計上する癖をつけると良いでしょう。

フリーランスが知らないと損する経費処理すべきものについてはこちら>>

青色申告を行う

フリーランスが確定申告を行う際に、白色申告と青色申告を選択できます。経費と同様の理由で、できる限り大きな金額で控除を受けた方が、総所得金額が下がり、月々の保険料もおさえることができます。白色申告と青色申告の控除額は以下の表の通りとなります。

種類 / 控除金額 / 帳簿 / 決算書の種類 / 承認手続き
白色申告 / なし / 単式簿記 / 収支内訳書 / なし
青色申告 / 10万円 / 単式簿記 / 青色申告決算書 / あり
青色申告 / 65万円 / 複式簿記 / 青色申告決算書 / あり

65万円の控除を受けられる青色申告は、複式簿記という複雑な簿記への記帳求められるため難易度は高いのですが、もしできる限りお得に保険料を支払いたいということであれば、是非青色申告に挑戦しましょう。一度覚えてしまえば、二度目以降は比較的楽に申告ができるようになりますし、毎年の保険料の割引率は積もり積もってそこそこの金額になります。

また青色申告特別控除以外にも、配偶者控除や扶養控除、専従者控除など、保険料をおさえることができる各種控除が存在するので、そちらも合わせてチェックしておきましょう。

フリーランスの得する節税対策と受けるべき所得控除について分かる記事はこちら>>

副業で社会保険に加入する

副業を行なっている方で、そちらに社会保険制度がある場合は、そちらで健康保険に加入するというのも一つの手です。現在ではアルバイトやパートでも、一定時間以上労働している人は社会保険に加入する義務があります。フリーランスとしての活動を本業として、あくまで副業でアルバイトやパートなどを行い、そちらの勤務先の社会保険に入れば、別で国民健康保険に入る必要はありません。(入ることができません)
社会保険であれば所属する勤務先が半分負担してくれるので、かなりお得になります。

国民健康保険組合に加入する

健康保険には国民健康保険と社会保険以外にも、国民健康保険組合という組合保険や協会保険などが存在しています。国民健康保険組合は、組合として加入するため、地域によっては国民保険と比較して安くなるケースがあります。

まとめ

フリーランスが検討すべき健康保険の種類や、それぞれのメリット・デメリットについて紹介させて頂きました。現在、多くのフリーランスは国民健康保険に加入していると思いますが、もし今回紹介させて頂いた国民健康保険以外の健康保険でも、加入条件に当てはまるようであれば、一度検討してみる価値はあると思います。またこれからフリーランスとして開業する方であれば、家族の有無や退職する会社で加入していた社会保険の種類など、ご自身の状況を踏まえた上で、国民健康保険に切り替えるか2年間の任意継続を行うのか、検討してみると良いでしょう。最終的にどの健康保険に加入したとしても、可能な限り月々の保険料をおさえるために、経費や控除をうまく活用していくことが大切になります。

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