フリーランスが再就職手当を受給することは可能な場合があります。仕事を失った方に対して、早期に復帰してもらうことを支援するための制度である再就職手当。フリーランスとして活動していく方が受給するための条件や具体的な手順について詳しく紹介させて頂きます。条件に当てはまる場合は忘れずに申請することで、開業時の資金とできる可能性があります。この記事ではフリーランスが再就職手当を受給する条件・手順について解説をしていきます。
再就職手当の概要について解説させて頂きます。
再就職手当とは、早期に再就職先が決まった方に対して支払われる手当のことを言います。(失業保険の受給資格を満たしている方に限る)具体的なタイミングとしては、失業保険の支払い日数を、定められている給付日数の1/3以上残して再就職が決定した場合にもらうことができる制度となっています。
この制度の元々の目的としては、離職者に早期に安定した仕事に就いてもらうために作られた制度となっており「就職促進手当」「ハローワーク就職祝い金」などと呼ばれることもあります。この制度があることで、失業中に貯金が底をついてしまっても、臨時収入を得ることができ、この手当を目標に就職活動に励むことができます。
再就職手当と失業保険の違いについて解説させて頂きます。
どちらも似たような意味合いで使用される言葉ですが、別の制度として存在しています。それぞれの違いを知ることで、自分が受給すべき手当金はどちらに当てはまるのか考えて頂ければと思います。
まずは再就職手当と失業保険は給付される際の目的が異なります。
再就職手当は離職者が再就職するための支援をするために給付される補助金となります。条件を簡潔にお伝えすると、1年以上の就業が見込める職場に再就職した際に補償を受けることが可能となります。一方で、失業保険は失業したことに対して給付される補助金となります。再就職手当同様、就職の意思があることが必要でありますが、再就職が決定している必要はありません。
またよく議論される話題として、再就職手当と失業保険のどちらがお得か、という内容についてですが、失業保険の保証金の方が再就職手当よりも多いのが一般的です。
つまり金額だけで比較すると失業保険の方がお得であると言えます。ただし、失業保険の場合は給付までに待機期間(金額が支給されない一定期間)が存在するため、すぐにお金を受け取ることができません。また分割で支払われるため、一度に受け取る金額は多くはありません。一方で再就職手当は比較的早く、まとまった金額を受け取ることができるため、すぐにお金が必要な場合は再就職手当の方が適していると言えます。
再就職手当は以下の計算式で算出することができます。
失業保険の残期間によって計算式が異なるため注意が必要です。
失業保険は以下の計算式で算出することができます。
フリーランスが再就職手当を受給することができるかについて解説させて頂きます。
結論から申し上げると、フリーランスが再就職手当を受給することは可能です。フリーランスが再就職手当をもらう場合、定められた条件を満たす必要がありますが、条件さえ満たせばある程度まとまった金額の補助金を受け取ることができ、開業資金として活用することもできるのです。意外と見落としがちな再就職手当の申請、会社員から独立する方は忘れずに申請するようにしましょう。
フリーランスが再就職手当を受け取るための給付条件については、この後詳しく解説させて頂きます。
フリーランスが再就職手当を受給できる条件について解説させて頂きます。
先ほど紹介させて頂いた通り、フリーランスであっても一定の条件を満たすことで再就職手当を受け取ることができます。厚生労働省によって定められた下記の条件を満たしているか確認し、問題ないようであれば申請を行いましょう。
ハローワークで再就職手当の受給手続きを行い、その後7日間の待機期間を終えた後に再就職(開業届の提出)を行うようにしましょう。この期間内に手続きを行ってしまうと、再就職手当の支給対象外となってしまいます。
再就職(開業届の提出)の日の前日までの時点で、失業保険の所定支給日数が全体の3分の1以上残っている必要があります。3分の1未満の場合、再就職手当の支給対象外となります。
再就職先の企業が前職と密接な関係がないことを証明する必要があります。フリーランスにとってはあまり関係のない条件であるかもしれません。
自己都合で退職した方などは、給付制限期間という給付を受け取りできない期間が発生します。この期間中の最初の1ヶ月間については、ハローワークや指定の人材紹介会社を通して再就職が決まった場合のみ、給付を受けることができます。
再就職先(独立後フリーランスとして)1年以上働くことが確実であると証明する必要があります。これは再就職手当をもらうだけもらって、すぐに仕事をやめてしまうというケースを防ぐための条件となっています。
この条件は事業主となるフリーランスには関係がない条件となります。ただし会社員として再就職する場合にはこの条件に当てはまっている必要があります。
再就職するたびに手当を受け取れる制度ではないので、この点に注意しましょう。再び同制度を受けるためには3年以上の期間が経過している必要があります。
ハローワークにて再就職手当の申請を行い、受給資格が決定する以前に新しい職場からの内定をもらっていたり、開業届を提出してしまっている場合、再就職手当の受給の対象外となってしまうため注意が必要でしょう。
フリーランスが再就職手当を受給する方法・手順について解説させて頂きます。
先ほど紹介させて頂いた条件を全てクリアしていた方は、いよいよ実際に再就職手当を申請する必要があります。その方法と手順について、初めての方でもわかるように丁寧にお伝えできればと思います。
退職後も必要書類の依頼などで関係性は継続するため、極力迷惑をかけないように心がけ、その後も気まずくて連絡が取りづらいという状況にならないよう意識しましょう。そのためにも退職の旨は早めに会社へ伝えることをおすすめさせて頂きます。
また勤めていた会社を退職する際には必ず離職票をもらえるようにしましょう。失業保険の申請に必要な書類となります。会社によって離職票が発行されるタイミングが違うため、事前に退職後どれくらいの期間で発行してもらえるかを確認しておきましょう。
会社から離職票を発行してもらったら、自宅最寄りのハローワークにその離職票を持って行き、失業保険の申し込みを行います。この時、運転免許証や保険証などの本人確認書類の提出が必要となります。忘れずに持参するようにしましょう。
その後、ハローワーク側で本人が失業していることを判断するため、7日間の待機期間を過ごします。この待機期間は失業保険の申し込みを行う全員に課せられる期間となります。
再就職をする方の場合、この期間に就職活動を行い、フリーランスになる方は開業準備を行います。
失業保険の内容や今後の流れについて聞く説明会に参加します。この説明会は必ず受ける必要があるため、忘れずに参加するようにしましょう。
その後、初回講習という必要書類一式を受け取る講習会に参加します。各資料についての説明などはこの講習会で行われるため、こちらも参加するようにしましょう。その他、各種申告方法、就職活動のテクニック、職業訓練などを行ってくれます。
この日をもって、正式に失業したことが認定されます。
初回講習を受講してから約2週間後が失業認定日となるケースが多いでしょう。
このタイミングで、これまでの期間で就職活動の内容、現状の収入などについて、ハローワークへ正確に伝える必要があります。
再就職手当の条件に該当するようになるため、こちらの手順を踏む必要があります。この期間の転職活動はハローワークや指定の人材紹介会社を利用するようにしましょう。フリーランスを目指す方の場合、この期間で開業準備を進めると良いでしょう。
自己都合退職ではない場合は即時、自己都合退職の場合は上記期間の就職活動を経た上で、フリーランスとして活動していくことをハローワークに伝えます。きちんと伝えた上で適切な時期に開業届を提出すれば、再就職手当を受け取ることができます。
最寄りの税務署にて開業届を提出しましょう。
開業届の提出時にはどんな業種で開業するのかということや、屋号を使用する場合は屋号を記載する必要があるため、提出前にあらかじめ考えておくと良いでしょう。また印鑑や本人確認書類、マイナンバーも必要となります。
フリーランスが開業届を提出する理由やメリット、記入時の注意点についてはこちら>>
いよいよハローワークで再就職手当の申請を行います。この時改めてフリーランスとして開業する旨を伝えます。また開業届のコピーも提出する必要があるため、用意しておきましょう。それ以外では下記の書類を提出する必要があります。
再就職手当の申請から1ヶ月後、ハローワークから事業を継続しているかの確認の電話があります。もし何かしらの理由でフリーランスとしての活動を終えていたり、再就職した会社を離職している場合は、その旨を正直に伝えましょう。その場合は再就職手当の申請は無効となります。
フリーランスが再就職手当を受給する条件・手順について解説させて頂きました。
開業時にまとまった資金が手に入るかもしれない再就職手当。条件や申請手順について正しい知識を身につけて、受け取れる補助金は漏れなく受け取るようにしましょう。