2020年コロナ危機が全世界を襲う中、WHO(世界保健機関)はマスクの使用に関する指針の内容を更新(2020.04.06)、『一般向けのマスク』を着けても感染を予防できる根拠はないと改めて指摘しましたが、感染者が他の人に移さないためには効果があるという見解を示しました。
さらに『医療用マスクは医療従事者に十分に浸透を図らなければならない』と強調し、一般人の医療用マスクの使用を控えるよう呼びかけています。さてここでは、前述した『一般用マスク』『医療用マスク』の性能や種類などについて簡単に比較していきます。
一般用マスクとは主に、①花粉対策、②風邪対策、③ウイルス対策、④PM2・5など防塵対策用に用いられ医薬品医療機器等法に該当しない衛生用品です。
織編物(天然繊維・化学繊維)または 不織布等を材料として、口鼻を覆う形
また かぜなどの咳やクシャミの飛沫が体内 外に侵入、飛散するのを抑制すること を目的に使用されます。
①花粉対策用マスク
花粉粒子の捕集試験実施済、約30㎛以上の粒子をカットするフィルタを採用し比較的大きな粒子のをカットするため通気性がよく呼吸しやすい。
②風邪、ウイルス対策用マスク
BFE(約3㎛)・VFE(約1.7㎛)の試験を行い、 99%までのフィルタ捕集効果を表記
③PM2・5対策用マスク
PFE(約0.1㎛)の試験を行い、 99%までのフィルタ捕集効率を表記
一般用マスクの中では一番高性能であるが、ウイルスを完全にカットできるものではない。
医薬品医療機器等法に該当しするマスクのことを言い、
①N95マスク、②DS2マスク、③PAPR、④サージカルマスク(手術用)等があります。
①N95マスク
N95マスクとはマスクの名称ではなく、NIOSH(米国労働安全衛生研究所)が定めた規格の名称で1μm以下の固形塩化ナトリウムエアロゾル(Nacl粒子)の捕集効率試験をした時に95%以上の捕集効率を保証されたマスクであり、ある種の空気感染源から呼吸器感染をするリスクを軽減する目的で設計、開発された着用者(医療従事者)保護用マスクである。感染源が隙間から侵入しないよう顔に密着するように設計されています。そのためフィットしているN95マスクを選択する必要があり、定期的なフィットテストが必要です。
1.結核患者(疑い含む)と接するとき
2.上記患者の検体を扱うとき
3.SARS、H1N1患者に対し、気管挿管などエアロゾルを発生する処理を行うとき
このように明記されており今回のコロナウイルスは3のSARSと同様のウイルスの為
着用者を保護するマスクとしては有用です。
性能はN95マスクと同等であるが、DS2マスクは日本の厚生労働省が定めた規格に合格したものです。
N95マスクと同じ試験においてNacl粒子捕集効率99.97%以上、指定防護係数25または1000の規格をクリアしたものでPurifying Respiratorを略して『PAPR』と呼ばれること もあります。タイトフィット面体タイプ(呼吸用保護具が装着者の顔面に密着させる構造)やルーズフィットなフード タイプ(呼吸用保護具が装着者の顔面に密着しない構造)があり。付属のバッテリーにより電動ファン を稼働させ、吸い込む環境中の空気を高性能なフィルターでろ過して清浄な空気を供給するため呼吸がしやすくなっています。
95マスクと同じであるが、機能性はN95マスクよりも上であり、呼吸が楽で着用が簡単という利点があります。
また、フィットテストが不要N95マスクに慣れていない医療従事者でもウイルスなどから自身を守ることが可能です。
しかし大仰な外観から患者に恐怖心を与える可能性があり、また高価であることと、バッテリーが切れた場合の対応など、使用する上での注意点も多い。
サージカル(surgical)は外科の、手術の、という意味で、広義での『サージカルマスク』は、主に医療現場もしくは医療用に使用されるマスクを指します。サージカルマスクの着用目的は次の2つが挙げられます。
今回一般用マスクと医療用マスクに関して性能比較をさせていただきました、私達が普段ドラックストアなどで購入し使用している一般用マスクには、WHOがコロナウイルスに対して感染を予防できる根拠はないと示しています。理由としては、一般用マスクの捕集性能が0.1〜30μmとする一方でコロナウイルスの直径は0.1μm以下と小さいため、ウイルスから防御する手段としては完全ではないというよいように考えられます。
しかしながら、感染者がウイルスをばら撒く飛沫感染の確率を下げる手段としてはある程度有効なため、今後もこのような場面においてはマスクの着用を徹底していくべきだと考えました。
一方、N95マスク、DS2マスク、PAPR、のような医療マスクはウイルスから装着者を防御する手段としては有効でありますが、基本的に生産数も少なく、医療従事者向けであるため最前線でコロナウイルスと対する医療従事者に満遍なく届けることが重要であり、進んで一般人が使用するものではないということです。
今回の全世界的コロナ危機により日本では深刻なマスク不足ではありますが、この経験を糧に医療用マスクの増産や国によるマスク保有数の引き上げなどを積極的におこなうべきではと考えました。
また、異業種によるマスクの生産など様々な打開策に動いている企業も多くみられ、このような危機的状況にこそ日本の生産技術を生かし、国全体でこの問題を乗り越えていく必要があります。
【参考】
1.マスクのホームページ全国マスク協会
2.国立感染症研究所 感染症情報センターHP
3.厚生労働省 一般的なコロナウイルスに関するQ&A
4.財団法人日本化学繊維検査協会HP 検査室情報 SARSとマスク
5.スリーエム ヘルスケア株式会社HP N95マスクQ&A