案件評判
汎用系システム開発を理解する!特徴や歴史、汎用系エンジニアの現状などを簡単に解説!

汎用系システム開発を理解する!特徴や歴史、汎用系エンジニアの現状などを簡単に解説!

最終更新:2021/05/21 投稿:2019/12/08
汎用系システム開発を理解する!特徴や歴史、汎用系エンジニアの現状などを簡単に解説!

汎用系システム開発とは主に基幹システムの構築をする際に汎用機(大型コンピュータ)で高性能なデータ処理を実現させるために採用するシステム開発の分類です。現在でも残るシステム開発の中で最古の歴史を持つと言えるでしょう。では汎用系システム開発にはどのような特徴があり、どのような歴史が存在するのでしょうか。この記事では汎用系システム開発を理解するために特徴や歴史、汎用系エンジニアの現状などを簡単に解説して行きます。

汎用系システム開発とは

『汎用機(大型コンピュータ)で高性能なデータ処理を実現させる』
汎用系システム開発とは汎用機と呼ばれる専用の大型コンピュータを使用してシステム開発を行うことです。主に日立、富士通、IBMなどの汎用機を用いて基幹システムの構築を行います。主に大企業が業務処理を効率化する際に必要とされるシステム開発に活用されております。オープン系システム開発が主流になった現在でも、セキュリティや耐久性が求められる環境にて基幹システムとして活用されております。汎用機が登場する前は用途に合わせてそれぞれに対してコンピュータが必要とされておりましたが、汎用機では一つのコンピュータで高い処理性能と様々な計算技術を持ち合わせました。そのため基幹業務、事務処理など汎用的に活用出来るシステムであることから『汎用機』と呼ばれるようになりました。

英語表記は“General-purpose machine”
となっております。
※英語で表現される機会もあるため参考までに

また汎用機について、“メインフレーム”や”ホストコンピュータ”と表現する場合もあります。

汎用系システム開発の歴史

汎用系システム開発の歴史を見ていきましょう。ここでは誕生の背景、IBM一強時代の到来、ダウンサイジング時代の到来によるオープン化の加速について解説させていただきます。

誕生の背景

汎用機の誕生は1950年にまで遡ります。アメリカの国際的大企業Unisys社が開発をした『UNIVAC 1』が最初の汎用機と言われております。当時の発売価格は100万ドルだったようで、1950年代のドル価値で考えても大企業で無いと手が出せない価格だったことが分かります。そんな世界初の汎用機は以下のような特徴が有りました。

UNIVAC 1特徴

・膨大なデータ処理能力(CPU性能だけでなく、特に入出力性能)
・1台で多数の業務処理を並行して処理管理
・高度な信頼性と可用性
・大組織に必要な、厳格な運用管理機能とセキュリティ機能
・メーカー側の長期計画や保守体制

参照:Wikipedia

IBM一強時代の到来

汎用機浸透の全盛期とされる1980年代には世界的にIBMが一強状況でした。一方全世界の中で唯一IBMの浸透が遅れていたのが日本国です。それまで独自路線で開発と販売を進めてきた日立、富士通、東芝、NEC(旧三菱電気)などの会社が日本政府から補助金等の支援を受ける形で『IBM対抗機』の開発に走ることになりました。その後、IBMと日立は提携路線、富士通は独自路線という形で進んでいく事となり、事実上IBM、日立、富士通、NECの4社が日本の汎用機市場を牛耳る形となりました。

IBM対抗機の開発
▼互換機担当
富士通×日立製作所
▼GCOS系であるACOSシリーズの開発
東芝×日本電機
▼周辺機器開発
三菱電機×沖電気

ダウンサイジング時代の到来によるオープン化の加速

1990年代に入ると世は技術革新が凄まじいスピードで進み世の中はコンピュータの小型化を進めていきました。これをダウンサイジングと呼びます。小型で高性能なコンピュータが続々と登場したことにより多種多様な開発環境でシステム開発を進めることが出来るようになりました。これをオープン系システム開発と呼びます。汎用機によるシステム開発は大型コンピュータを必要とするため膨大な初期コストが掛かる一方で、オープン系システム開発は低コスト高性能を実現できます。これを機に世の中はオープン系システム開発の時代へと移行していきます。

オープン系システム開発の特徴や歴史について解説された記事はこちら>>

汎用系システム開発の特徴

汎用系システム開発の特徴を見ていきましょう。ここでは開発環境、開発対象となるもの
について解説していきます。

開発環境について

汎用系システム開発に使用される汎用機(大型コンピュータ)はIBM、日立、富士通、NECなどが提供する製品が主流となっております。メーカーによって内部の設計やOS、パーツなど環境は様々ですが開発に使用される言語はCOBOLに集中しております。COBOLは計算処理が得意領域でもあるため、基幹システムの構築を得意とする汎用系システム開発に向いていると言えるでしょう。

▼汎用機(大型コンピュータ)
IBM、日立、富士通、NECなど

▼プログラミング言語
COBOL、FORTRAN、PL/1など

開発対象となるもの

汎用系システム開発において、開発対象となるものは基幹システムが主とされております。
特に金融系、流通系、メーカー系など大量のデータを処理する必要があればあるほど汎用系システム開発の出番となります。汎用機は高性能で高速にデータの処理が可能なコンピュータであるためこのような作業に向いております。現在では新規での開発を見かけることは滅多にない状況で、保守開発や既存システムの運用などが主とされております。

向いているもの
・基幹システムの構築
金融系、流通系、メーカー系など

汎用系エンジニアの現状

汎用系エンジニアの現状について見ていきましょう。

大規模なプロジェクトに携わることが多い

汎用機を導入するには膨大なコストが必要なため導入出来る企業はほとんどが大企業となっております。そのため汎用系システムのプロジェクトに携わる際は大規模なプロジェクトがほとんどとされております。そのプロジェクトの中には誰もが耳にしたとこのある会社のサービスやインフラなどの一部を担うことになるのでやりがいを感じられる場面も多いでしょう。大きな組織や大きなプロジェクトの役割を担いたい方にはメリットがあるでしょう。

汎用機を扱うプロジェクト例
・某共済系年金システム開発支援
・某生命保険会社向け基幹システム機能開発
・某損害保険会社向け基幹システム保守運用
・某銀行系勘定システムマイグレーション支援

長期で携われる案件が多い

汎用系エンジニアの方が対象となる案件のほとんどが保守開発やシステム運用の案件となります。これらのプロジェクトはリリース目標の決められた新規開発のプロジェクトと比べると年単位などの長期での需要がある場合が多いため長く携われる案件が多い傾向にあります。長期案件を理想とする方にはメリットがあるでしょう。

汎用系エンジニアの案件
・システム保守、開発
・システム保守、運用
・システム機能追加
・マイグレーション(システム移行)

需要は減少傾向に

オープン化システム開発の波は今後も留まることはないと予測されます。従って汎用系システム開発の需要は今後も減少していくでしょう。現に新規で汎用機の導入を行う企業は年々大幅に減少しております。一方で保守開発や既存システムの運用などの需要はまだまだ無くならないことが予測されます。しかし近年のエンジニアはオープン系開発に強いプログラム教育を好む傾向にあるため汎用系エンジニアの需要に対して人が足りていないのが事実です。汎用系システム開発の新規プロジェクトが生まれないことが需要と供給のバランスを崩していく大きな要因ですが、この流れは続いてしまうことが予測されます。

汎用系エンジニアの需要と共有
▼案件(需要)
新規案件・・・激減
既存案件・・・横ばい

▼人材(供給)
新規エンジニア・・・激減
オープン系へチェンジ・・・激増
汎用系へチェンジ・・・激減

▼まとめ
既存案件は今後も根強く残ることで需要は有り。一方でエンジニアが減少傾向。
需要と共有のバランスが合わずエンジニア不足へ

まとめ

汎用系システム開発を理解するために特徴や歴史、汎用系エンジニアの現状について解説させて頂きました。汎用系システム開発を一言でおさらいすると『汎用機(大型コンピュータ)で高性能なデータ処理を実現させる』です。汎用機に対する世の中の需要は減少傾向にありますが、現在でも汎用機を採用している企業のほとんどが大企業なため既存システムの案件需要はまだまだ残るかと思います。汎用系システム開発についてこのように歴史と現状を理解することで様々な需要に答えられる貴重なエンジニアとなることが出来るでしょう。

案件評判
常駐する会社が、実際どんな会社で、どんな案件が動いているか詳しく知りたい。
これは常駐形態で働く方なら誰もが感じていることだと思います。 常駐の働き方をされている方は是非一度「案件評判」で案件についての評判をチェックしてみてください。